このところ教育の無償化が話題となっています。教育を受ける権利というのは、民主国家においては基本的人権のひとつに位置付けられるものですが、果たして教育にはどの程度、効果があるのでしょうか。

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 天賦の才能を持ったごく一部の人を除いて、教育を受けることは、人生を成功に導く有力な手段となっています。しかし教育が万能というわけではありません。確かに教育によって人は能力を伸ばすことができますが、学業にも向き不向きがあり、生まれ持った能力に依存する部分があるのも事実です。

 身体的特徴がよく似ている双子を対象とした大規模な調査では、学業成績には遺伝的影響があるとの結論が得られています。親が学校の成績が優秀だった場合、子供も学校の成績が優秀となるケースが多いということです。この話を聞くと、教育を受けてもあまり意味がないと感じる人がいるかもしれません。しかし、これはあくまで学校の成績に限った話です。

 同様の研究では、開拓性や外向性など、いわゆるパーソナリティについては、学業成績ほど遺伝的影響が見られませんでした。従来の日本社会では、学校の勉強さえできていれば高く評価されましたが、価値観が多様化するこれからの時代においては、対人コミュニケーション能力やチャレンジ精神など、パーソナリティがキャリア形成に大きく影響してきます。今後、重要性が高まってくる分野において遺伝的な影響が少ないことは、多くの人にとって朗報といってよいでしょう。

 内閣府が行った双生児に対する調査でも興味深い結果が得られています。生徒1人あたりの教師数など、高校の質が違った場合、学力への影響は見られませんでしたが、社会に出てからの年収に影響を与えていました。質の高い教育を受けることで、その後の人生を有意義に過ごすことが可能となるわけです。

 日本では教育は贅沢品という認識が一部にあり、家庭環境のせいで高い教育を受けられない人は、それを受忍すべきとの意見がしばしば見られます。しかし、教育の質によってその後のキャリア形成が変わるという事実を考えると、やはり機会は広く確保された方が社会にとって有益でしょう。

 近年はペーパー試験ではなく、人物評価の比重を高くする試みが行われています。努力によってパーソナリティを勝ち取ることができるのだとするなら、こうした部分を重視する方向性は間違っていないということになります。

(The Capital Tribune Japan)