三菱商事やみずほ銀行などが、道路や空港といった各種インフラに投資する大規模なファンドを立ち上げると報道されています。なぜ、このタイミングでインフラファンドの運用に乗り出すのでしょうか。また、インフラがファンドによって運用されるとどうなるのでしょうか。

ペイレスイメージズ/アフロ

 三菱商事などが計画しているファンドの規模は約1000億円で、国内のインフラファンドとして最大規模となります。銀行や年金基金が出資を予定しているほか、官民ファンドも資金を提供するそうです。

 インフラファンドは、空港、道路、発電所といった、いわゆる社会インフラに対して投資を行い、そこから得られる収益を分配するものです。

 このところ市場では、量的緩和策の影響によって空前の低金利が続いており、運用先がないという問題に直面しています。インフラファンドから得られる利回りはそれほど高くありませんが、ほぼ確実に収益が見込めます。資金を運用する側からすると非常に魅力的な商品です。

 インフラファンドは政府や自治体などから、公共インフラを買い取って運用することが多いのですが、政府や自治体側にも切実な事情があります。財政難でインフラを民間に売却したいと考えているところが多く、インフラファンドはこうしたニーズの受け皿になるわけです。

 今後は政府や自治体が保有していたインフラの一部が民間のファンドに移管され、民間の手で運用されることになるでしょう。官の世界に民間の感覚が取り入れられますから、インフラの運用が適正化されるとの期待もあります。

 これまで政府や自治体は、将来のメンテナンス費用などを考えず野放図にインフラ整備を進めてきました。このためインフラが老朽化しても修繕の費用を捻出できず、中には危険な状態で放置されているものもあるといわれています。

 ファンドが運用するということになると、こうした部分は適切に管理されますから、無計画なインフラ建設は抑制される可能性が高いでしょう。一方、採算に乗らないインフラは投資の対象外となりますから、民営化が進めば、多くの利用が見込めないインフラは切り捨てられていく可能性も高まります。

 インフラの建設や運用にファンドの仕組みを導入することには、メリットとデメリットの両方がありますが、すでに財政余力を使い果たしてしまいつつある日本の現状では、他に選択肢はないのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)