写真:アフロ

 ハロウィンが終わってすぐに、街の装飾や音楽はすっかりクリスマスに切り替えられ、少し早すぎるのではないかと思っていましたが、気が付けばもう12月。ぼちぼちクリスマス気分に浸りたいところです。

 クリスマス気分を盛り上げるには、やはり音楽は欠かせません。余談は多めになりますが、少し懐かしい日本のクリスマス文化などの話をしながら、ジャズにおけるクリスマスの名曲をジャズ評論家の青木和富さんが解説します。

【連載】青木和富の「今夜はJAZZになれ!」

お祭り好きの日本人が育てた独自の文化と企業が作ったイメージ

 日本はお祭り好きだと言われる。確かに全国各地、市町村はもちろん、会社、学校等組織ならそれぞれにお祭りのようなことがあったり、なかったら作ろうとしたりする。さらにはバレンタイン、ハロウィン、クリスマスと異国の行事も何ら違和感なく、恒例のものとして日常に溶け込んで楽しまれる。

 なるほどキリスト教徒が数パーセントしかいない日本で、こうした行事が全国規模で楽しまれるのは、海外の人たちの眼には異様に映るかもしれない。しかも、こうした行事に、日本独自の創作のようなものが加わり、定番化しているのを見ると、違和感以上の驚きの世界と言えるだろう。たとえば、クリスマスのイチゴのデコレーション・ケーキ、フライド・チキンなどが代表で、こうしたアイテムは海外にはまったく存在しない日本独自のものである。バレンタインのチョコレート同様、こうした定番化の背後には企業活動があるが、そうであっても日本の祭り好きの国民性は、それを楽しく受け入れ、むしろ、鉄板のアイテムとすることで、行事の高揚を作り出す本能的な能力とすべきかもしれない。

 確かに、行事の本来の意味から外れたり、無視したりする日本は、異様なのかもしれないが、しかし、これは日本の特性とばかりは言えない。例えば、白いひげ、赤い衣装で、トナカイのそりに乗ったサンタクロースが、子供たちにプレゼントを運ぶといった典型的なクリスマスのイメージの起源は、1931年のコカ・コーラ社の宣伝ポスターにある。これは同社のホームページにも記載されているので、知らなかったという人はぜひ確かめてほしい。典型的なクリスマス・カラーとして定着している赤と緑の赤は、本来は血を象徴するが、むしろこの赤は、コカ・コーラ社のブランド・カラーの赤の楽しさ、明るさのイメージに変換した見事な創作と言っていいだろう。

 そして、最後の余談だが、宗教的な厳密さで言えば、むろん、お寺ではクリスマスは祝えない。そこで子供が不憫だといって、その日は「もみの木祭り」として祝うという、昔住んでいた寺町の住職から話を聞いたことがあった。祭りには領域を超える人間の想像力の源がある。

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