[写真]戦時中、操縦席の原田さん(C)宮尾哲雄

 元ゼロ戦パイロット、原田要さん(長野市出身)の生涯を描いたドキュメンタリー映画の反響が広がり、今夏の初上映に続いて12月2日から同市内で異例のアンコール上映が始まりました。昨年99歳で亡くなるまで平和を訴え続けた原田さんは「戦争の実態を次世代に伝えることが大切」と強く訴えていました。上映館もその遺志を受けて、今後この映画を毎年上映することにしています。

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アンコール上映は15日まで

[写真]監督の宮尾さん(左)と生前の原田さん (C)宮尾哲雄

 映画は「原田要 平和への祈り~元ゼロ戦パイロットの100年」で、須坂市のフリーディレクター、宮尾哲雄さんが監督、女優の檀ふみさんがナレーションを担当。原田さんのインタビューや戦時中の長野市、東京などの戦災の映像などを織り込んで、原田さんの生々しい体験や戦争に巻き込まれた人々の姿を伝えています。

 7月から9月にかけて市内の老舗映画館「長野相生座・ロキシー」で延長も含め50回近く上映、延べ3000人の観客を集めました。上映終了後も同館に上映予定などの問い合わせが相次いでいたため、「なるべく早く観賞の機会を」と12月の再上映を決めました。

 アンコール上映は12月15日までで、9日~15日までは午前10時50分から。4日の上映では観客席に中高年層に交じって若者の姿があり、映画が幅広く関心を集めていることをうかがわせていました。

 原田さんは、太平洋戦争に突入した真珠湾攻撃(1941年)の際の艦隊援護やセイロン、ミッドウエーなど各地でゼロ戦パイロットを務め、不時着やけがなどでやっと生き延びたことも。戦争末期にはパイロットの指導教官にもなり、戦後は長野市で幼稚園経営に携わりました。

 戦争の記憶は消えず、「墜落する敵機のパイロットの苦しそうな顔や、炎に包まれて落ちていくパイロットの顔は今も忘れられない」と講演などで語り続けました。敵機にいつまでも追われて思わず声を上げたところ、夢だと分かってほっとしたことも。

 幼稚園経営に力を入れたのも「多くの人を殺した戦争に関わった自分は、多くの子供たちを育てることで償いとしたい」という気持ちも手伝ってのことだと語っています。

[写真]「原田要 平和への祈り」のアンコール上映を始めた長野相生座・ロキシー

 上映している長野相生座・ロキシーの田上真里支配人は「来年以降も原田さんの誕生月の8月にこの映画を上映していく予定。上映の問い合わせが多く、来年まで待ってもらうには遠くなりすぎるので今回のアンコールになりました」と話しています。


■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説