写真:アフロ

 筆者はUSD/JPYの先行き12カ月見通し(≒2018年)を引き続き113円としています。2016年11月に設定して以降一度も変更を加えていないこの予想は、現段階でもリスクが上下に均衡しており、変更の必要はないと考えています。2018年の基本シナリオを端的に言えば、(1)連邦準備制度(FRB)が断続的な利上げを実施するなかで、(2)日銀が約11年ぶりに引き締め方向への政策へと舵を切るものの、(1)と(2)が互いに影響し合うことで、為替への影響は相殺されるというものです。為替の予想にあたっては、FRBと日銀の金融政策をバランスよくみることが重要になりますが、本稿では主にFRBの利上げに注目してUSD/JPYの関係を考えます。

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「FRB利上げ=日米金利差拡大=円安」という関係に距離を置くことが重要

 2018年のUSD/JPYの展開として、FRBの利上げを根拠に円安を予想する声がありますが、結論を先取りすると筆者は「FRB利上げ=日米金利差拡大=円安」という関係に距離を置くことが重要と考えています。確かにFFレートの引き上げは、数週間から(長くても)3カ月程度という短期間でみると、日米金利差拡大を通じた円安要因と為替市場で認識されています。実際、「日米金利差拡大・円安」の関係が成立していますので、市場参加者が利上げを円安要因と認識した可能性が濃厚です。

USD/JPY・日米2年債金利差

 しかしながら、やや長い目でみると、時間の経過とともにその波形は一致しても水準は乖離が生じてくることがわかります。たとえば、2016年10月以降のチャートをみると、日米金利差が右肩上がりなのに対し、為替は横ばい圏内で推移しています。更に期間を拡大して2013年以降の日米金利差とUSD/JPYを比較すると、両者の波形はところどころで似通っているものの、水準はほとんど関係がなくなっていることが見て取れます。日米金利差は日々の為替変動には高い説明力を持つ一方で、1年先の為替を予想する際にはあまり役に立たないということです。従って、FRBが2018年に3回ないしは4回の利上げを実施したとしても、そのことが円安に直結する可能性が低いことを認識しておくべきでしょう。

USD/JPY・日米2年債金利差

(第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)

※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 

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