地方自治体などが管理する道路橋の老朽化が進み、架け替えを含めた修繕費用が27兆円に達すると推計されています。日本はこれまで建設利権が最優先され、将来的な修繕コストを考えずに新しいインフラを作り続けてきました。そのツケが回ってきた格好ですが、今後、発生する費用を誰が負担するのか議論となりそうです。

写真:アフロ

 筑波大学や高知工科大学などの研究グループによると、2014年度において地方自治体や道路公社が管理している道路橋は64万カ所にのぼり、今後、必要となる修繕費用は50年間で約27兆円になるそうです。特に財政余力の乏しい小規模な自治体の場合、修繕費用が確保できず、安全が犠牲になるリスクがあります。

 これは道路橋に限った話ですが、将来の修繕費用が問題となりそうなインフラはほかにもたくさんあります。今後は人口減少が急激に進むことから、地方自治体の財政余力はますます乏しくなります。最終的には政府が支援するという形が模索されそうですが、政府も財政難で公共事業を増やす余力はありません。財源をどう確保するのか、真剣に検討する必要があるでしょう。

 日本のインフラ整備は常に新規建設が優先され、維持や修繕は後回しにされてきました。こうした手法については、これまで何度も問題視されてきましたが、そのたびに「景気を犠牲にするのか」という批判が向けられ、あまり顧みられることはありませんでした。

 現在でもこうした傾向は続いています。東京オリンピックを控え、都内ではビルの建設ラッシュとなっています。古いビルの再建築にとどまらず、築年の浅いビルまでもが次々と取り壊されている状況です。企業単体ではビルの建て替えで利益が出ていても、社会全体で考えた場合、まだ使えるビルを壊して新しいビルを建設する追加コストは誰かが負担しなければなりません。マクロ経済的には雇用者報酬が犠牲になる可能性が高く、将来、労働者の賃金抑制という形で跳ね返ってくるかもしれません。ビルの新規建設が追加コストを上回る高い経済成長をもたらすのであれば話は別ですが、おそらくそうはならないでしょう。

 日本は今後、急速な人口減少社会を迎えます。全体としてみればインフラは余剰となりますから、今、あるものをどう活用するのか、総合的な議論が必要となりそうです。

(The Capital Tribune Japan)

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