問題はゼロベースでの議論ではないこと

――中間報告では、部活動以外にも、改善策が示された。例えば登下校の対応や、放課後から夜間の見回りなどは地域や保護者が担うこと、支援が必要な子供への対応はスクールソーシャルワーカーなどと連携して担うことなどだ。これらについてはどう感じているか?

 ほとんどの改善策がすでに現場で行っているものや、必要性が示されているが、なかなか進んでいないものばかりだった。抜本的な改善が期待できない。

 議論を見守る中で思ったのが「結論ありき」で見直しが始まったのではないかということだ。中間報告も記載の決定権を事務局(文部科学省)が握っていたため、委員が現場を踏まえた発言をしてくれても反映されないということがあった。

 部活が学校の業務だという根拠として、現行の学習指導要領の中で、「教育課程外であるが、学校教育の一環」と書かれているから、という説明があったが、今現場では部活指導の負担が大きすぎて、授業準備に支障が出ているケースも増えている。その現実を踏まえると、学習指導要領の文言の方を変えるなどの柔軟性が必要なはずだ。

 部活の位置づけについては、今後も変えてもらえるよう訴えていくが、結論が先に決まっているのではないかと思うと途方に暮れてしまう。

今後は最終報告をまとめる議論に移る 男性教員は「今後もよりよい報告がまとまるよう活動を続けたい」

記者会見する男性教員。左は名古屋大の内田良・准教授

 男性教員の求める「現場に即した形での学習指導要領の改訂」などは、改訂がほぼ10年に1度しか行われないことを踏まえると、現実的にはかなり難しいと見られる。

――結論ありきの議論ではないか、と感じているとのことだが、これから特別部会は最終報告をまとめる議論に入っていく。現職教員として声をあげる活動はもう行わないのか?

 それを数日考えていたが、ここでやめるわけにはいかないと思っている。

 まだ議論が煮詰まっていない、「教育職員給与特別措置法(給特法)」の問題がある。給特法では、校長などの管理職が残業を命じることができるケースを、修学旅行や災害時などに限定している。そのため、公立学校の教員には残業代が支払われず、代わりに基本給の4%を上乗せした給料しか支払われていない。教員の時間外勤務はすべて「自発的な残業」とみなされている現状がある。そのため残業が抑制されず、長時間労働を招く要因となっている。

 給特法については今後の議論の必要性が示されているので、給特法の改正を今後は中心に訴えていきたい。

 今は部活の位置づけが動きがたいが、部活が業務であれば、部活は必ず大幅に勤務時間を過ぎて行われるので、残業代が必ず発生することになる。給特法の議論が深まっていけば、部活の位置づけが業務だとおかしいということになるはずだ。

――給特法の議論について望むことは?

 まず、法律の専門家、労働に関する法律のプロの視点を入れて議論をしてほしいということと、どういう形かはわからないが、残業代がしっかりと支払われるようにしてほしい。残業代が出ることで、残業は抑制されると思う。今は、残業が自発的なものとみなされていることに忸怩たる思いを持っている。

 あとは、難しいかもしれないが、やはりゼロベースで議論をしてほしい。これまでの規範の範囲内ではなく、現状を改善するために、規範のほうを変えるということも含めて考えてもらいたい。

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