微笑み王子の拳四朗が年末劇画パンチでKO決着を狙う

WBC世界ライトフライ級王者の拳四朗(25、BMB)は年末30日に横浜文化体育館で同級11位のヒルベルト・ペドロサ(25、パナマ)と2度目の防衛戦を行う。その公開スパーが17日、都内の三迫ジムで披露された。10月22日の初防衛戦から中2ヶ月強の強行軍となったが、今回は世界戦3試合目にして初めて生中継が約束されていて「有名になるチャンス」とモチベーションアップ。「連打でインパクトのあるKO勝利」を誓った。それって劇画「北斗の拳」の秘技「北斗百裂拳」では?のふりに「いいっすね」と乗った。
 この年末決戦を勝てば、その次は、王座を獲得した際の元王者、ガニガン・ロペス(36、メキシコ)との再戦が義務づけされているが、陣営はWBA同級世界王者の田口良一(31、ワタナベ)が翌日にIBF同級王者のミラン・メリンド(29、フィリピン)と統一戦を戦うとあって、その先には統一戦を希望している。しかし、本人には統一戦という欲はなく、年明けに予約が困難な焼肉店で祝勝会をするのが楽しみだとか。新時代の異色王者は、年末のV2戦で名実共に全国区を勝ち取ることができるのか?

 いつも微笑んでいる。父でジムの会長でもある寺地永が、劇画「北斗の拳」の主人公ケンシロウにあやかって命名した拳四朗という勇ましい本名に反して殺気ゼロ。父曰く「いつもマイペース」。
 今風と言えばいいのか、新時代のボクサー像というのか……。

 同じ階級の田口が翌日に統一戦を戦うことをどう感じるか?と聞いても。
「特に意識はないっすね」

 最強を求めないのか?と聞いても。
「それよりも有名になりたい」

 世界戦3試合目にして初の生中継が約束された。

 これまで2試合はWBA世界ミドル級王者、村田諒太(帝拳)がメインのトリプル世界戦のワンカードだったため、地上波の生中継はなかったが(後日BSで録画放送)、今度はWBO世界Sフライ級王者、井上尚弥(大橋)とのダブル世界戦のため拳四朗にも放映時間が回ってきた。中2ケ月強の強行スケジュールでの世界戦にOKを出したのも「生中継だから」が理由。有名人好きの超ミーハーで、趣味は、グルメ店めぐり。計量後に食べるためにと中央区勝どきにある有名ベーグル店のベーグルをいつも買ってくる。将来の夢は、「グルメレポーター」だから、思考は完全にJKである。
 女子大生、JKと趣味思考が一緒では? そうふると「かもしれませんね」とニコっと笑う。

「インパクトのある試合をして有名になって、どんどんテレビ番組に呼んでもらえるようになりたいなあ。マスクしないと街を歩けないくらいに」。真顔で言う。

 オプションの関係で、このV2戦をクリアしても次戦は薄氷の判定勝利だったロペスとの再戦となる。陣営は、その先に田口に負けじと統一戦実現のプランを描く。田口の統一戦は、どちらが勝つにしろ、ひとつのタイトルは返上となる見込みだし、WBOの同級王座は、田中恒成(畑中)が返上、王座決定戦で新しい王者が誕生している。
 本人は、「年末はいっぱい試合ありますからね。有名になるためには、その中でも目立つ試合をしないと」とは言うが、「組まれた試合をやるだけで特に統一戦をやりたいとは思わない」。
 それよりもV2戦を成功した後の年明けに待っている減量から解放された祝勝会が楽しみらしい。
 
 大阪の堺にある何か月先まで予約が埋まっている超人気焼き肉店「生ホルモン処おさむちゃん」に、友人から招待を受ける約束があって、「7席しかない凄い店らしいんですよ。そこいくのもこの試合のモチベーションかなあ」と、語り口調が熱を帯びる。
 グルメ情報には熱心だが、今回の対戦相手の映像は見ていない。
 「それもいつも通りだから不安もないっす」
 おまけに海外の一流ボクサーの試合などにも興味がない。スマホをいじっていてSNSで飛び込んでくる動画をチラっと見るくらいだという。
「自分でボクシングをやるのは好きなんですが」 
 ハングリーでもない。最強を求めるわけでもない。親子王者のDNAに突き動かされているわけでもない。
 異色と言えば異色の世界王者。そこが、また面白い。
 だが、リングに上がると一変するのが拳四朗だ。