松岡茉優(撮影:磯部正和)

 第30回東京国際映画祭コンペティション部門に日本代表として出品された映画『勝手にふるえてろ』。本作は、観客賞および、主演を務めた松岡茉優が、宝石のような輝きを放った若手キャストに贈られる「東京ジェムストーン賞」を受賞するなど大きな話題を呼んだ。その松岡は、これまで数々の映画やドラマ、バラエティー番組で活躍してきたが、意外にも映画は初主演。もともと実力派と言われていた彼女だが、ここまでの道のりには、多大な努力と、本作のテーマでもある「忘れられない思い」が原動力となっていたようだ。

満を持して映画初主演

 現在22歳の松岡だが、子役の頃から活動を開始し、芸歴は10年以上にも及ぶ。女優として数々の映画やドラマに出演する一方で、情報番組「おはスタ」で“おはガール”を務めるなどバラエティー番組への適応力も抜群で、各方面から高い評価を得るようになる。そんななかでも「演じること」が自身の中心という思いはブレない。着実にキャリアを積み、ついに『勝手にふるえてろ』で映画初主演を果たす。

 本作は芥川賞作家・綿矢りさの原作を、大九明子監督が映画化。原作では、松岡演じるヨシカの妄想と現実のはざまに七転八倒する心情がモノローグで描かれているが、映画ではセリフや歌で表現されるなど、演技力がより重要になってくる設定に変更。しかし、その期待通り、まさに“独壇場”と思える松岡の魅力が詰まっている。

 こうした製作陣からの期待に「ありがたいことです」と恐縮しきりの松岡だが、「とにかく頑張っているけれど、過去の思いに捉われうまくいかない。不器用だけれど不屈の魂をもっている……みたいな女子に報われてほしい」という思いで挑んだという。続けて「もちろん多くの人に届いてほしいという思いはあるのですが、この作品は大きな鍋に入れるのではなく、もう少し小さい器で観てもらいたいんです。本当に頑張っているけれど報われない、そんな人に報われてほしいという思いが届けばうれしい」と強い視線で語る。