フィンランドのオルキルオト原発(写真:ロイター/アフロ)

 地下約500メートルに向かって螺旋状に延びる坑道。開削された先に放射性廃棄物が処分されていく。

 北欧、フィンランドのオルキルオト原発の使用済み核燃料を処理するための施設、通称「オンカロ」だ。地元の言葉で「洞穴」を意味する。「100,000年後の安全」という映画にもなり、日本では東日本大震災の年に公開された。「放射性廃棄物が生物に無害になるまでに最低10万年を要する」というのがタイトルの背景にある。

 「地下500メートルに作られる放射性廃棄物の永久処分場」(作品中の表現)が2020年代に操業を始め、「核のごみ」で一杯になる100年後、そして無害で安全な基準に達する10万年後の「未来」の安全性について問い掛ける。

 10万年。途方も無い年月である。10万年後に人類がこの施設の意味合いをきちんと理解できるかどうか分からない、という見方さえある。現代において、10万年前の古代人の残した記録の解読は容易でないのと同様の論理だ。10万年後、あるいはもっと近い数千年後の未来の人類は、有害物質の詰まった「パンドラの箱」を知らず知らずに開けてしまわないか。当面100年先まで安全はどう確保されるのか。映画は示唆に富んでいる。

 こうした処分地の決定は北欧が先進的で、スウェーデンも決めた。フィンランドが使用済み核燃料を再利用せずに地中に埋める「直接処分」方式であるのに対し、日本は「再処理」方式を採っている。使用済み燃料を分離してウランとプルトニウムを回収してリサイクルする方法だ。軽水炉サイクルで約8000年、高速炉サイクルでしても300年かかると言われている。

 日本の核燃料サイクル事業はいまだ賛否両論が渦巻く。政策実現に向け、期待されたのが福井県の高速増殖炉「もんじゅ」だった。ただ、以前取り上げたように、施設でトラブルが相次ぎ、1兆円の巨費に見合う成果が出ないまま、運転総日数は1年と経たずに廃炉が決まった。政府はあくまでサイクル政策の推進を目指すが、社会の反発も根強く、行き詰まりが見られる。青森県六ケ所村で建設中の再処理工場も、度重なるトラブルで完成時期が遅れに遅れている。事業の先行きは見通せないのが実情だ。

 そうした中で、日本は処分地の選定も難航している。長く検討が続いているが結論が出ていない。2017年7月には、各地点の地層条件などから適しているか否か、日本全国を塗り分けた「科学的特性マップ」を政府が公表した。今後進展するかが焦点となる。

 放射性廃棄物を含め、エネルギーを、現代に生きる我々は未来にどう伝えるべきか。子々孫々何を遺すべきか。選択の連続である。

エネルギー小国日本の選択(1) ── 「エネルギー基本計画」見直しへ

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