「もし私が10歳の日本人ならカラシニコフ銃で武装する」。著名投資家のジム・ロジャーズ氏による過激な発言が話題となっています。同氏は投資家ですが、メディアで人気の著名人でもあり、彼の発言はかなり誇張されたものが多いという特徴があります。しかし、財政破綻によって深刻な事態になるというロジャーズ氏の指摘については、多少、気にかけておく必要がありそうです。

写真:ロイター/アフロ

 ロジャーズ氏は米国のラジオ番組で、「もし私が10歳の日本人ならAK-47を購入するか、この国を去ることを選ぶだろう」と発言しました。

 AK-47というのは、一般にはカラシニコフ銃と呼ばれる旧ソ連製の自動小銃です。ロジャーズ氏はこの発言後に受けた週刊現代のインタビューにおいて、日本で騒乱が発生するというよりも、日本の財政が危機的な状況となっており、財政破綻によって大惨事が発生すると予想しています。また今の50代は逃げ切れる可能性が高いものの、若年層にとっては危機的な状況であるとも主張しています。

 同氏はかつてジョージ・ソロス氏と共にヘッジファンドを立ち上げた経験があり、著名投資家として知られています。2002年にシンガポールに家族とともに移住してからは、投資家というよりも投資に関するコメンテーターとしてメディアに出るケースが増えてきましたから、同氏の発言は話半分程度に聞いておくのが賢明といえるでしょう。

 しかしながら、日本が極めて深刻な財政問題を抱えているのは紛れもない事実です。世の中では日本の財政が破綻する・しないといった極端な議論が行われていますが、金融関係者の中で本当に日本の財政が破綻すると考えている人はほとんどいません。しかし、近い将来、日本の金利が一定レベルまで上昇すると考えている人はかなりの割合に達するはずです。

 現在、日本政府は約1000兆円の借り入れがありますが、もし金利が5%に上昇してしまうと、政府の利払い費は理論上、50兆円にもなります(国債の償還期限が異なるので、すべての金利が5%になるまでには数年の時間的猶予がある)。現時点における日本の税収は57兆円しかありませんから、税収のほとんどが利払いに消えてしまう計算となり、日本政府は事実上、予算を組めなくなってしまいます。現実には金利上昇が始まった段階で、徐々に緊縮予算を余儀なくされる結果となるでしょう。

 政府の予算が削られてしまうと、医療費の自己負担が急増したり、年金が減額されるなど、社会的混乱が予想されます。また公共事業や助成金も大幅に削減されてしまう可能性が高く、政府の支援に頼っている企業の多くは業績が悪化すると考えられます。

 ロジャーズ氏の指摘にはかなりの誇張があるにしても、財政問題を軽視することは決してよい結果をもたらしません。こうした極端な指摘にもあえて耳を傾ける姿勢も重要です。

(The Capital Tribune Japan)