貴乃花親方にもなんらかの処分が下されるのだろうか?(写真・アフロ)

 大相撲の元横綱・日馬富士による平幕・貴ノ岩への暴行事件は九州場所中の発覚から1カ月が過ぎた。日馬富士は千秋楽から3日後の11月29日に引退を電撃発表。加害者である横綱が責任を取って引退するという衝撃的な展開となっても、事態は一向に収束する気配がない。日本相撲協会は、明日20日に両国国技館で臨時の横綱審議委員会と理事会を開き、そこで今回の日馬富士の暴行事件にかかわった関係者に対して、なんらかの処分を発表して、この問題の年内決着の道筋をつけるはずだった。

だが、その思惑はすでに崩れ去っている。

危機管理委員会の高野利雄委員長(元名古屋高検検事長)は11月30日、日馬富士の書類送検を警察の捜査終了とし、この時点で貴乃花親方が協会側の聴取に協力する意向を示したと説明していた。しかし、日馬富士が12月11日に鳥取県警により、書類送検された後、貴乃花親方は、鳥取地検の処分が出るまで聴取に応じない旨をファックスで伝えてきた。

 鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)は聴取を要請する要望書を持って、東京都内の貴乃花部屋に何度も出向いてきた。しかし、その都度、門前払い。せめて貴乃花親方が直接応対して、検察の処分が出るまで応じられないと、口頭で答えれば、ここまで混乱することもなかったのだが、よほどの不信感があるのか、それもしない。解決に向けて協力する姿勢はまったくないのだ。

危機管理委員会は、臨時理事会に調査の最終報告を予定しているが、被害者である貴ノ岩にまったく接触できていないのだから、“一方通行”の聴取で、完全な最終報告を行うのは難しい。

 鏡山部長は、「何もない」と聴取を断念する口ぶりで、八角理事長(元横綱北勝海)は「集まれと言ったら集まるのが協会の一番の良さだと思っていた。しかし、今は…」とため息をついていた。
 
 そうなると、この段階で処分を下すことは無理だろう。
 

 貴ノ岩は17日に沖縄で全日程を終えた冬巡業を全休したが、注目されていた休場に必要な診断書も提出されなかった。協会は混乱を避けるため、今巡業に巡業部長の貴乃花親方を帯同させず、春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)を巡業部長代理をとして派遣した。

 その春日野部長は16日の宜野湾市の巡業で、貴ノ岩の診断書について、「もう来ないだろう」と半ばあきれたように話し、前例のない“無断欠勤”に「職務放棄だよ。注意とかも一つ。それを含めて…。休んでいるのは本人だから」と、貴ノ岩にも何らかの処分を科す意向を示した。

 だが、誰の処分を先にしなければならないのか、と考えれば、貴ノ岩の届出の問題は、二の次、三の次である。それでも休場届の未提出が貴ノ岩個人の意思でないことは容易に察しがつく。

なぜ貴乃花親方は被害者である弟子の立場がどんどん悪くなることを続けるのか。すべては、日馬富士の暴行に端を発しているとはいえ、なぜ決められたルールを守らないのか、という声もある。ただし、貴乃花親方の態度だけでなく世間の常識が通じないのが相撲界である。

ある協会関係者は「世間の常識が通用しないのが相撲界。その相撲界の物差しでも貴乃花親方の考えは計れない。理事長ら協会幹部もお手上げだと思う」とサジを投げている。

 20日の臨時理事会で元日馬富士の師匠である伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の管理責任、暴行現場に居合わせた横綱・白鵬、同・鶴竜に対する処分だけでなく、秋巡業中の一連の出来事の報告義務を怠った貴乃花親方への処分が検討される見込みだった。だが、これらの見込みは、あくまでも世間の常識。

 協会のガバナンス能力の低さも含めて、相撲界では、あらゆるところで世間の常識が通用しないのだから、まず、どこから常識に直すべきかを整理する必要がある。

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