アメリカのトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と宣言したことについて、イスラエル、そしてアメリカ国内はどのように受け止めているのだろうか? また、トランプ大統領の意図はどこにあるのか? そもそもアメリカとイスラエルの関係とは? アラブ諸国から反発を招いているトランプ大統領のエルサレム首都宣言について静岡県立大学グローバル地域センター特任助教の西恭之氏に聞いた。

イスラエル国内「当然のこと」、米国内は批判的

エルサレムの神殿西壁(嘆きの壁)と岩のドーム(写真:アフロ)

Q:トランプ大統領のエルサレム首都宣言についてイスラエルはどのような受け止めをしているのでしょうか?

西恭之氏 ハト派の多くを含め、当然のことと受け止める人が主流です。イスラエルは第一次中東戦争(イスラエル独立戦争)停戦後の1949年以来、エルサレムを首都としています。イスラエルを承認している国は西エルサレムをイスラエル領土と承認しているはずだから、イスラエルだけに対して、領土のどこを首都とするのかに口を出すのはおかしいという主張が主流です。現実に、パレスチナ国を承認している国も含め、どの国の駐イスラエル大使も、西エルサレムの大統領官邸で信任状を捧呈しています。

 トランプ大統領の宣言が、東エルサレムの併合を承認するものではなく、ある国境線を押し付けようともしていないことを、イスラエルの政府と国民は理解しています。だからこそ、当然のことと受け止めているわけです。

 トランプ大統領の宣言の影響については、和平交渉における妥協を延期すべきでないとパレスチナ側に警告するものだとして歓迎する受け止めが主流です。オバマ政権を含め、これまで和平を仲介しようとした人々は、妥協の延期はイスラエルに不利でパレスチナ側に有利だと説いてきたわけですが、イスラエル人の多くは、その見方が和平交渉を行き詰まらせてきたとみています。

 主流派内のハト派は、宣言を歓迎しつつ、争いのない西エルサレムをイスラエルの首都として承認したにすぎないということを、トランプ氏が強調していれば、なおよかったと受け止めています。