日本相撲協会は20日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、危機管理委員会から元横綱・日馬富士の貴ノ岩への暴行事件に関する最終報告を受けた上で、関係者への処分を協議、決定した。

 暴行事件の現場に同席していながら止めなかった白鵬、鶴竜の両横綱には、それぞれ減給処分が下され、白鵬は、初場所のある来年1月の給与全額と2月の半額、鶴竜は1月の全額が支給されないことになった。また八角理事長も組織のトップとしてガバナンスの不備、対応の遅れなどの責任をとり3か月分の給与を全額返上することを申し出た。ただ巡業部長としての報告を怠ったことを問題とされている貴乃花親方については、聴取ができていないことから処分は先送りとなった。28日に改めて臨時理事会が開かれる。

 今回の一連の処分を巡って、ネット上は「大甘処分」という批判で炎上している。特に「甘い」「軽すぎる」という批判が集中しているのは横綱・白鵬への減給処分だ。

 横綱の給料は約282万円程度だと言われている。白鵬は、1か月半分だから、あくまでも推定だが、約423万円の減給となる。ただ1000万円とされる優勝賞金や、報奨金、懸賞金の扱いについては言及されておらず、CM収入などの副収入が給料を上回ると、推測される白鵬にとって、今回の減給金額は痛くも痒くもないだろう、という声も出ている。

 相撲協会の賞罰規定は、けん責、報酬減額、出場停止、業務停止、降格、引退勧告、除名の7種類があるため、今回の罰則は、2番目に軽いもの。しかも、前日に緊急で行われた貴ノ岩の聴取により、暴行現場の新事実がいくつか明らかになった。

 この日、危機管理委員会の高野利雄委員長が説明したところによると、当初、日馬富士が、貴ノ岩を暴行したのは、白鵬から説教を受けている最中にスマホをいじった礼失行為が原因だとされていたが、貴ノ岩は「説教が終わった後にラインの返信をしただけだった」と、白鵬の説教が終わり、日馬富士と話を始めたタイミングで、ラインの返信をしたと説明。「どうしてこのような仕打ちをするのか理解できなかった。なぜ誰も止めてくれないのかとも思っていた」という心境を伝えたという。

 危機管理委員会は、「貴ノ岩に対する説教は酒席だった。しかも、角界以外の関係者のいる場で(の行為として)は不適切だと言わざるを得ない」と、白鵬が貴ノ岩に行った説教が、事件の発端だったと問題視。

 殴り始めた日馬富士を白鵬が止めに入ったのは事実だが、リモコンという“凶器”を手に数発殴るまで、しばらく暴行を黙認していたことを事実認定した。

 また暴行事件の翌日に、貴ノ岩が日馬富士に「昨日はすみませんでした」と謝罪して、2人は握手を交わしたが、これは関係者からの「謝っておいたほうがいいよ」という助言によるもので、本人が納得して行った謝罪ではなかったとされた。

 これらの最終報告を受けた上で、八角理事長は、「白鵬は最高位の横綱でありながら、目の前で起きた同じ横綱の暴力を防ぐことができなかった。白鵬は第一人者でありながら、暴力を防げず、大相撲の信用失墜を招いた。その責任は軽くない。鶴竜の処分理由も白鵬と同じだが、白鵬に比べれば責任の程度は若干軽い」と、特別決議として両横綱を“断罪”した。

 さらに「その場にいあわせて暴力を防げなかった者にも責任がある。その点を再発防止の観点からはっきりさせるために2人の横綱に処分を行った」と続けた。

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