今回の取材で比較記事を書くことにしたクラウド型会計ソフト3サービス

 会計ソフトと言えば、パソコンにインストールするパッケージ型会計ソフトが主流です。一方、近年は、インストール不要のクラウド型会計ソフトもさかんに宣伝されています。実は筆者、年の瀬というのに今年の分はまだ一度も会計処理をしていません。年が明ければまもなく確定申告。どうしようかとおびえていた矢先、編集長から「クラウド型会計ソフトの比較記事はどうですか」と勧められました。まさに「渡りに船」でした。

クラウド会計「使ってみた」(2)freeeは簿記の知識がいりません?

個人事業主の宿命、確定“深刻”

個人事業主にとって、確定申告は深刻な問題だ

 筆者のようなフリーランスを含めた個人事業主は、毎年2月16日から3月15日のあいだ、「確定申告」という、前年の所得と払うべき所得税の金額を国に伝えて納税する手続きを行わねばなりません。

 所得税は、年間の収入金額から、事業に使った必要経費や、基礎控除を含むさまざまな控除の金額を引いて算出した所得をもとに計算します。必要経費や控除額が多ければ多いほど所得は少なくなり、支払う税金も少なくなるのです。今、政府が検討を進めている所得税の基礎控除額引き上げは、フリーランスにとって恩恵と言えるでしょう。

 確定申告には、手続きの簡単な「白色申告」と、手続きは難しいが同じ収入なら白色申告より税金が少ない「青色申告」の2種類があります。税金が減るのは、青色申告を選択すれば「青色申告特別控除」が適用されるためです。さらに、青色申告でも「簡易簿記」よりも複雑な「複式簿記」という方法で帳簿を作った方が、青色申告特別控除の金額が多くなり、税金をさらに少なくできます。

初めての青色申告は四苦八苦

(図1)複式簿記のルールで帳簿に記入

 この複式簿記による帳簿づくりや確定申告用の書類作成を支援してくれるのが、会計ソフトです。昨年春、青色申告1年目の筆者はパッケージ型会計ソフトを買いに、大手家電量販店に行きました。パッケージが並ぶ棚をみるとWindows版の会計ソフトが大半。筆者はMacユーザーなのに、Mac版は数種類しかありません。その中の1種類を選んで、レジに向かいました。

 パッケージに「かんたん」「らくらく」という文字が印刷されていましたので、これで簡単に会計処理ができるだろう、と安心して選んだのですが、なかなかそうは期待通りにはいきませんでした。

 もっとも悩まされたのは、複式簿記のルールにもとづく取引(お金の出入り)の記入作業です。複式簿記は、「1つの取引の『原因』と『結果』の両方を記録する」という考え方で帳簿を記入します。

 たとえば、「5月5日に、1000円の商品を売り、代金1000円を受け取った」という取引があったとします。この場合、「原因」は「1000円の商品を売る」、「結果」は「代金を受け取って現金が1000円増えた」です。この取引を、複式簿記のルールで帳簿に記入すると、図1の通りとなります。

 このようにして取引を帳簿につける行為を「仕訳(しわけ)」、帳簿の左側は「借方(かりかた)」、右側は「貸方(かしかた)」、「現金」「売上」といった取引内容を表す名前は「勘定科目」と言います。

 ここまでの説明が理解できなくても、別に問題はありません。要は、「複式簿記のルールを知らないと、入力ができない」と言いたかったのです。