東京23区における都心回帰がより明確になっています。千代田区や港区の人口が増えているのはもちろんのこと、これまでは相対的に人気がないと思われていた都心に近い下町エリアの人口が増え、逆に郊外の増加は限定的でした。場所のイメージよりも便利さを求める住民が増えていることが分かります。

台東区から隅田川をはさんで望む東京スカイツリー(ペイレスイメージズ/アフロ)

 2015年の国勢調査によると東京23区の人口は927万人となっており、5年前の調査との比較では3.7%ほど増加しました。東京は基本的に人口が増えているという状況ですが、その程度は区によって大きく異なっています。

 もっとも人口の増加率が高かったのは千代田区で24%増、次いで港区で18.6%増、3位は中央区で15%増でした。これらの3区は昔から人口増加率が高いことで知られています。特に港区は地名にステータスがあるとされますから、いつの時代でも、経済的に余裕のある人が住みたがる街となっています。

 しかし最近では、以前と異なる傾向も垣間見られるようになってきました。かつては港区のような都心のエリアに加え、世田谷区や目黒区といった住宅地も高い人気を誇っていました。逆に下町のエリアはそれほど人気がないというのが一般常識でした。

 しかし今回の国勢調査では、台東区の人口増加率は12.6%と4番目に高い数値となっており、台東区への移転が急増していることが分かります。

 では台東区に移転してきたのはどのような人たちなのでしょうか。年齢別の人口動態を調べてみると、港区では65歳以上人口が22.6%増加するなど高齢者の転入が目立ちます。郊外の一戸建て住宅を売却し、より便利な港区のタワマンなどを購入した世帯が多いと考えられます。しかし台東区は高齢者に加え、若年層人口や中核労働者人口も増えています。つまり、まんべんなく人が増えており、一般的なファミリー層が転居していることを伺わせます。

 以前でしたら世田谷や目黒を検討したと思われるファミリー層が、近さを優先し、台東区を選択した可能性は高いでしょう。ちなみに同じ下町でも、都心からの距離が遠い足立区では人口がマイナスとなっています。一般的に都心部への人口回帰が起こっているとされていますが、その傾向は下町エリアでより顕著であることが分かります。人の動きはしばらくの間、同じ傾向が続きますから、台東区の人気が当面、継続することになるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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