TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が老舗出版社の主婦の友社を買収すると発表しました。CCCは徳間書店など出版社を立て続けに買収していますが、どのような狙いがあるのでしょうか。

写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ

 主婦の友社は、女性向け雑誌や書籍を手がける老舗出版社です。2008年に休刊になってしまいましたが、主力雑誌だった「主婦の友」の創刊は1917年ですからかなりの歴史と伝統があります。こうした女性誌は日本の女性の地位向上に大きく貢献しており、社会的にも高く評価されていました。現在でも「Ray(レイ)」や「mina(ミーナ)」といった女性誌を発行しているほか、料理や育児といった分野を中心に単行本を出版しています。

 CCCが出版社を買収するのはこれが初めてではありません。同社はニューズウィークやフィガロ、ペンといった著名雑誌を発行していた阪急コミュニケーションズ(前TBSブリタニカ)を2014年に買収(現CCCメディアハウス)。2015年には経営難に陥った美術出版社を救済。続いてスタジオジブリを手がけたことでも知られる徳間書店を2017年に手中に収めています。各社とも高いブランド力を持つ出版社として知られていましたが、CCCによる一連の買収はこのあたりに理由がありそうです。

 同社ではアートをテーマにした店舗「銀座蔦屋書店」を今年4月にオープンしました。この店舗の企画には美術出版社のノウハウや感性が総動員されたといわれています。このところ同社はアマゾンなどネット通販の台頭で厳しいビジネス環境に置かれています。ネット通販に対抗するためには、単に書籍を販売するのではなく、「場」という体験を提供することで一種のコト消費に結び付ける必要があります。そのためには、ブランド力のある出版社の力が必要になるわけです。

 これまで出版業界は、取次(とりつぎ)という業界独特の卸会社が流通をほぼ独占するなど、少々特殊な経営環境にありました。しかしアマゾンはこうした慣行は気にせず、出版社と直接取引を始めるなど、日本の商慣行に風穴を開けようとしています。書店としても従来の商慣行にあぐらをかいているわけにはいかなくなったわけです。

 CCCによる出版社の連続買収が業績に結びつくのかはまだ分かりません。しかし同社は出版業界における数少ない「攻め」の企業ですから、今後の展開が期待されるところです。

(The Capital Tribune Japan)

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