米国の税制改革法案がとうとう実現することになりました。米国で大規模な減税が実施されるのは、レーガン政権以来、約30年ぶりです。減税によって米国経済はどうなるのでしょうか。また日本経済にはどのような影響があるのでしょうか。

税制改革法案に署名したトランプ大統領(ロイター/アフロ)

 トランプ大統領は12月22日、法人税率の引き下げなどを盛り込んだ税制改革法案に署名しました。これにより同法は成立し、大型減税がとうとう実現することになりました。

 トランプ大統領は大規模な減税を公約に掲げて大統領に当選したこともあり、就任直後から減税法案の実現に向けて動き出しました。しかし、財政悪化を懸念する議会との調整がつかず、減税法案は何度も頓挫。一時は、実現が危ぶまれていたほどです。議会との度重なる折衝の結果、ある程度の妥協が図られ、今回の可決成立となったわけです。

 減税法案の柱となっているのは法人税の大幅な引き下げです。米国は先進国の中で、もっとも税金が高い部類の国として知られていました。米国の連邦法人税は現在35%ですが、法律の施行後はこれが21%まで引き下げられます。地方法人税と合わせた法人税率は28%程度となり、日本やドイツとほぼ同レベルまで下がります。減税規模の総額は10年間で1.5兆ドル(約170兆円)ですから、単純平均で年間17兆円の資金が政府から民間に移転するわけです。

 米国企業は高い税金にもかかわらず高収益を維持しており、米国経済は今のところ極めて順調に推移しています。こうした状態に大型減税が加わることにより、米国経済はさらに加速するとの見方が強まっています。また企業の税引き後利益も大幅に拡大しますから、その分だけ株価も上昇する可能性が高まります。

 このところ日本の景気も拡大基調となっており、日経平均株価も上昇していますが、これは好調な米国経済を背景に、製造業の輸出が伸びているからです。米国景気がさらに拡大すれば、日本企業の業績もよくなりますから、日本経済にもプラスの影響があるでしょう。 

 また今回の税制改革には、グローバル企業が海外に蓄積している利益の国内還流を促す措置も盛り込まれています。為替もどちらかというとドル高(円安)に振れやすくなりますから、日本の株価にとっても追い風となります。

 もっとも、米国内の一部からは財政赤字の拡大を懸念する声が上がっています。しかし米国は、もともと財政規律に厳しい国で、政府債務の金額はGDPとほぼ同水準に収まっています。日本とは異なり、かなりの財政余力があるとみてよいでしょう。当面は減税による景気拡大効果が、赤字拡大によるマイナスを上回ると考えられます。

(The Capital Tribune Japan)