マイナス金利政策によって銀行の収益が低下していますが、私たちの年金からそれを補填しようという動きが出てきています。マイナス金利政策の導入により国民が直接、負担することはないといわれてきましたが、必ずしもそうとは言えなくなってきました。

写真:ロイター/アフロ

 公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、銀行が日銀に支払うマイナス金利分を負担する方針を固めたと報道されています。GPIFは150兆円を超える資産を運用していますが、常にすべての資産が株式や債券になっているとは限りません。2017年9月末時点においてGPIFは約10兆円の現金を保有していました。

 この現金は直接、GPIFが保有しているわけではなく、みずほフィナンシャルグループ系の信託銀行に預けられています。各銀行は日銀の当座預金に資金を預けていますが、マイナス金利導入後、日銀は当座預金の一部に対してマイナス金利を設定しました。

 つまり手数料として日銀に徴収されることになるので、銀行としては現預金が増えると困ってしまいます。みずほグループの信託銀行はこの負担に耐えきれず、GPIF側に金利分を負担するよう要請したということです。

負担を預金者に押しつけるのは本末転倒

 マイナス金利導入時、一般預金者の預金から手数料が徴収されるのではないかと懸念する声が上がりましたが、日銀は一般預金者に負担が及ぶことはないと説明していました。しかし今回のケースは、年金という国民の資産からマイナス金利分を負担するということですから、実質的に国民が金利を支払っていることと同じになります。

 また本来、マイナス金利というのは、銀行が資金を遊ばせず、融資を拡大させることを目的としたものです。マイナス金利による負担を預金者に押しつけるというのは本末転倒な結果といえるでしょう。

 もっとも銀行側にも言い分があります。今の日本経済の環境下において、安全に運用できる融資先には限度があります。銀行として過度なリスクは取れない以上、一部の現金が余ってしまうのは止むを得ないことかもしれません。

 発生したマイナス金利分の負担を国民が負うべきなのか、銀行が負うべきなのか、それともマイナス金利政策自体を見直すべきなのか、議論が必要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)