撮影:高橋邦典

 タージ・マハルといえば、言わずと知れたインドで一番の観光名所。17世紀半ば、ムガル帝国のシャー・ジャハン皇帝が亡くなった妻ムンタズ・マハルのために建てた、「世界で最も有名な墓」の一つだ。

 僕もインド滞在中、何度か訪れたことがあるが、昨年撮影のために足を運んだ時は保存修理工事中で、本堂を囲む4つの塔のうち3つに鉄骨の足場が組まれていた。回廊や装飾の修理、黄ばんだ大理石の漂泊のためだ。多くの歴史的建造物がないがしろにされているインドでも、さすがはタージ・マハル。国の重要な観光収入源ともあって、きちんと保存作業がなされているようだ。

フォトジャーナル<インドの旅>- 高橋邦典 第51回

撮影:高橋邦典

 しかし、これだけの足場が組まれていると、どうにも使える写真が撮れそうにない。後日工事が終わってから出直そうかとも考えて、ぶらついていたガイドのひとりをつかまえ、いつ工事が終わるのか尋ねた。

 「数か月後かもしれないし、数年後かもしれない」

 いかにもインドらしい、いい加減な答えが返ってきた。20年以上もの歳月を費やして建てられた、世界建築の名作中の名作だ。その保存修復に数年かかるのは致し方ないことではある。撮影のためにわざわざ訪れた僕にとってはあいにくだったが、安置されているムンタズ后は墓の手入れをしてもらって喜んでいることだろう。

(2016年3月撮影)

※この記事はフォトジャーナル<インドの旅>- 高橋邦典 第51回」の一部を抜粋したものです。

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします