撮影:高橋邦典

 ムンバイから車でおよそ3時間半、古代建造物の多く残るインド西部ナシクの別名は、「インドのワイン・キャピタル」。温暖でブドウ栽培に適したこの地に集まる、大小合わせて30近くのワイナリーがこう呼ばれる所以である。

 「インドのワイン?」首を傾げる人も多いだろう。確かにまだ保守的なこの国では、アルコールに対する印象はあまり良いとはいえず、グジャラト州や北部のハリドワール、リシケシなど、酒の販売を禁止する地域さえある。だからと言って誰も飲まないというわけではなくて、実は飲酒人口は結構多い。それでも人気なのはウィスキーかビールで、ワインの消費量は微々たるものだ。それが近年の経済発展によって大きく変わってきた。国際的にも開かれたことや、ミドルクラスの爆発的な増加で、女性を含めたワイン愛好家が急増したのだ。

フォトジャーナル<インドの旅>- 高橋邦典 第51回

撮影:高橋邦典

 インドの輸入酒税は150%とべらぼうに高く、レストランでも時に食事自体より飲み物が高くつくこともある。そんな環境だから、国産ワインの普及と質の向上は、インドのワイン好きにとって嬉しいことに違いない。

 インドワインの代表とも言えるスラは、今ではフランスなどに輸出されるようになったという。今やヨーローパやアメリカを凌ぐ成長率を誇るインドの経済。フランスやカリフォルニア産にひけを取らないワインがナシークでつくられるようになる日が来るのも、そう遠くないかもしれない。

(2013年11月撮影)

※この記事はフォトジャーナル<インドの旅>- 高橋邦典 第51回」の一部を抜粋したものです。

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