2018年の政治スケジュールには国政選挙こそ予定されていませんが、今後の日本政治の流れを決める重要な動きがあるかもしれません。政治学者の内山融・東京大学大学院教授に展望してもらいました。

【表】「忖度」に「○○ファースト」……流行語で振り返る2017年日本政治

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 今年の日本政治について、自民党総裁選、憲法改正、野党再編・連携という3つのポイントから展望してみたい。

●安倍首相の総裁選3選なるか

[写真]自公で313議席を獲得した10月の衆院選直後の会見で、安倍首相はあらためて憲法改正に向けて強い意欲を示した(ロイター/アフロ)

 今年9月、安倍首相の自民党総裁2期目の任期が終了するため、総裁選が行われる予定である。焦点はいうまでもなく、安倍首相の党総裁3選がなされるかである。

 総裁選への出馬が予想されるのは、政務調査会長の岸田文雄氏、総務相の野田聖子氏、元幹事長の石破茂氏らといった顔ぶれである。

 中でも有力視されるのは岸田氏である。岸田氏はこれまで安倍政権を支える立場を通してきたが、昨年8月の内閣改造で、長年務めた外相から党の政務調査会長に転じた。閣内にいると首相に挑戦するハードルは高くなるが、党のポストに転じたことにより岸田氏の自由度は増したといえる。

 岸田氏の派閥である宏池会は、1960年代前半に首相を務めた池田勇人氏によって結成された名門派閥であり、大平正芳氏、鈴木善幸氏といった首相を輩出してきたが、宮沢喜一氏以来、20年以上首相を出していない。そのため、宏池会の中でも「岸田首相」待望論が出ているようである。

 岸田氏が出馬して安倍首相への批判票を取り込めば、安倍3選阻止もありうる。そのためには石破氏や野田氏と連携し、安倍批判票をまとめる必要があるだろう。もし連携がうまくいかず安倍批判票が割れれば、安倍3選の見通しは高くなる。

 一方、真偽のほどは定かではないが、岸田氏は今回出馬せずに安倍3選を支持し、代わりに安倍首相は自分の後継者として岸田氏を推す約束がなされているという噂もある。いわゆる「禅定密約」説である(過去には福田赳夫氏と大平正芳氏の間でこのような密約がなされたという説がある。このときは大平氏が福田氏に密約を反故(ほご)にされたといわれている。まったくの偶然だが、福田氏が創設した清和会は安倍首相の出身派閥であり、大平氏は宏池会出身である)。しかし、仮に安倍3選がなされた場合のポスト安倍候補としては、外務相の河野太郎氏や筆頭副幹事長の小泉進次郎氏も控えている(彼らが今年の総裁選に出る可能性も皆無ではないだろう)。岸田氏がどのように決断するかが注目される。

 岸田氏の去就は、後述する憲法改正とも関係してくるだろう。岸田氏は改憲には丁寧な議論が必要だとの立場であるため、もし安倍首相が性急に改憲を進めようとするならば、改憲を争点として出馬することになるかもしれない。