錦織は全豪に間に合うのか。2018年に復活はなるのか?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

「まだケガがいつ治るかは分からないので、1月のブリスベンを目指していますが、2月になるか3月になるかもしれませんし、なるべく焦らず、しっかり治してからツアーに戻ってきたい」

 2017年11月末、久々に公の場に姿を現した錦織圭は、復帰の目処についてそのように口にしていた。

 8月に手首を痛め戦線離脱していた錦織は、有明コロシアム開催のチャリティイベント等に参加するため日本に一時帰国。ケガの状況や現在の胸中などを、穏やかながらも強い芯の通った語り口調で、篤実に明かしていった。

 錦織のケガの具体的な症状は“右尺側手根伸筋腱の脱臼”。尺側手根伸筋腱は、手首外側(小指側)にある尺骨頭部の溝の中を走行しており、“腱鞘”と呼ばれる鞘状の部位に覆われている。腱鞘は、手首の背屈や尺屈の際に腱が浮かないよう抑える役目を果たすが、過度な運動を繰り返すと腱鞘炎を発症し、脆弱性も生じていく。

 錦織が手首を痛めたのは、サーブ……それもボールに激しい巡回転を与えるスピンサーブを打った時だ。その際に、錦織が耳にしたという「軽い破裂音」は、尺側手根伸筋腱が腱鞘から外れたがゆえに起きたものだろう。直ぐに練習を中断しMRI撮影および医師の診断を受け、多くの専門家たちと相談した結果、手術はせずに保存治療するのがベストと判断。ケガの直後は手首のみならず、腕をひねる動作も抑えるため、肘までギプスで固定していた。

その後は定期的な診断を繰り返しながら固定箇所や期間を調整し、9月中旬には治療のためにベルギーへ。そこには、ダビド・ゴファンら多くのテニス選手を診てきた手首の専門医がおり、またその医師の勧めにより、優れた理学療法士と設備の揃う“キム・クライシュテルス・テニスアカデミー”を治療の拠点に選んだ。滞在期間は、10月下旬までの6週間。その間、アカデミーでリハビリと治療に励みつつ、定期的に先述の医師の診断を受けてきたという。
 
 回復の状況は順当ながら、ボールを打ち始めたのは11月に入ってからで、それも最初は手首への負担を減らすため空気圧を低くしたものを使用。11月20日頃からは通常のボールに切り替えたが、それも軽いラケットを使ってのことだ。