都会からやってきた新住民が村八分のような扱いを受け、20キロ先の集積所までゴミを運ばなければならないという記事が話題となっています。

民主国家と村八分

写真:アフロ

 デイリー新潮によると、山梨県のある地域では、都会から移住してきた人が近隣のゴミ収集所を利用できず、車で20キロ先にある役所の集積所まで運んでいるそうです。その地域では、自治会に加入していないとゴミ収集所を利用できず、結果的に非加入者がゴミを出せない状況になっています。記事では自治会の加入状況がどうなっているのかはっきり分かりませんが、都会から移住してきた人のコメントによると自治会側が加入を拒否しているそうです。

 このところ地域の自治会をめぐってトラブルになるケースが全国的に増えています。加入しないという人に対して嫌がらせをするなど加入を強要するパターンもありますし、逆に新しい住民を加入させず排除するというパターンもあるようです。山梨県のケースは双方の言い分がすべて明らかになっているわけではありませんが後者である可能性が高いでしょう。

 自治会はあくまで自治会ですので、そのルールは地域住民が決めるべきものですが、自治会に加入していないことで行政サービスが受けられないという話が本当だとすると、民主国家としては絶対にあってはならないことです。

町内会は戦時中の隣組の名残り

 ゴミの収集をはじめとする各種行政サービスを受ける権利は、その地域の住民に等しく保障されたものであり、そのために住民税などの税金が課されています。特定の住民が何の理由もなくこうしたサービスを受けられないというのは、国家として極めて重大な問題といってよいでしょう。

 あくまで任意の集まりである自治会がこのような力を持ってしまうというのは不思議に思えますが、これは自治会や町内会が作られた歴史と深く関係しています。現在の自治会や町内会の前身となったのは、戦時中に政府が各地域に作らせた「隣組」という制度です。

 これには空襲などの際に地域住民が相互協力できるようにする目的がありましたが、一方で、住民を相互監視させ、政府の方針に反対する人を密告したり処罰するための組織でもありました。つまり良い意味でも悪い意味でも、隣組は行政機能の一旦を担っていたわけです。

 戦後、隣組は解体されましたが、現実には自治会や町内会という形で存続したケースも多いようです。回覧板などはまさにその名残といえます。

 日本は民主国家に生まれ変わっており、自治会や町内会はあくまで任意の集まりに過ぎません。地域には地域のルールがあるのは当然ですが、行政サービスに影響を及ぼすようなことはあってはならないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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