NPO法人「日本ホームスクール支援協会」の佐々木理事(左)と北本理事

 文部科学省の定義では、学校を年間30日以上休んだ場合、おおむね「不登校」と判断される。しかし、あえて学校に行かずに家で学ぶスタイルは「ホームスクール」と呼ばれ、日本でも取り入れる人たちがいる。支援団体であるNPO法人「日本ホームスクール支援協会」は、国内では約3000の家庭がホームスクールを選択していると推計する。

 ホームスクールとはどんなものか。なぜ選んだのか。支援団体の理事を務め、自らも実践者である北本貴子さん(35)と佐々木貴広さん(29)にホームスクールの現状を尋ねた。

【連載】多様な学びの形

ずっと家にいるわけではなく「旅教育」も実践

家にこもらず「旅教育」を実践する北本さん

 会社を経営する北本さんは3児の母。中学3年生の娘(15)、小学4年生の息子(10)、小学1年生の娘(7)がいて、長男と次女にホームスクールを選択した。教育関係の自営業を営む佐々木さんには、小学1年生の息子(7)、保育園の息子(5)がいて、長男にホームスクールを実践している。

 なお、学校教育法では、「保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う」と定められている。

――ホームスクールとはどのようなものでしょうか

 北本 学校に行かずに、または通いながら、家で学ぶスタイルですね。今は集団で学習するのがスタンダードですが、そこから少し外れて個人のよさをのばせる教育だと思います。ずっと家にいると思われがちですが、家庭の環境によっては、家にいる時間が少ない場合もあると思います。

――家にいない間はどうしているんですか

 北本 本当にそれぞれだと思いますが、例えばうちでしたら、昨年話題になったチバニアン、千葉県市原市の地層を現地に見に行ったり、長男が行きたい場所を自分で選んで、宿泊先や予算も含めた旅行の計画を立てる「旅教育」というのをやったりしています。それで2017年の春頃には瀬戸内の島を平日にめぐりました。

 佐々木 旅教育はうちもやっています。ホームスクールは平日が自由に使えるし、体験から学ぶということを大事にしているので取り入れやすいのではないでしょうか。

 北本 よく京都に行っていますが、「京都に世界遺産の金閣寺っていうのがあってね」と話すよりも、実際に見て、「こんなところにあるんだね、こんなに人がいるんだね」と実感したほうがずっと心に残ると思います。紙の上で、金閣寺はどこの地域にあるでしょう、と勉強したってあまりわからない。また、旅行の計画をすべて子どもに任せるので、子どもは受身にならずに積極的な姿勢になります。インターネットで物事を調べる力なども身につきます。

――国語や算数といったいわゆる教科学習はどのように教えているのでしょうか

 北本 私が何か教えるということはほぼないです。子どもが自分でドリルをひっぱってきたり、iPadのアプリを使って漢字を勉強したりしていますが、基本はやりたい気持ちを持っている勉強しかしてないですね。

 佐々木 1日2時間程度、公文やオンライン教材などを使って、読み書きなどの基礎学習の時間を作っています。それ以外は理科や社会といった教科のボーダーは意識せず、興味のある話題から広げて教えてあげます。先日は、関心がありそうだったので核融合や核分裂について話をしてあげました。