メガバンク各行が「口座維持手数料」の徴収について検討を始めています。銀行はマイナス金利政策の導入によって収益が低下し苦しい経営を余儀なくされています。仮に口座維持手数料が導入された場合には、マイナス金利政策の負担を事実上、国民が負う結果となります。

ペイレスイメージズ/アフロ

 口座維持手数料の導入は正式に発表されたものではありませんが、各種報道によると2018年度中には何らかの形で導入が決まる可能性が高いといわれています。

 マイナス金利政策の導入によって、メガバンク各行の利ざや(預金金利と貸し出し金利の利回り差)は1%を切る状況となっており、融資業務では収益を稼げない状況となっています。振り込みなどの手数料収入も持続的に拡大できるというものではありません。口座維持手数料は口座があるだけでお金を徴収できますから、銀行にとっては非常に魅力的であり、喉から手が出るほど欲しい収益源といってよいでしょう。

 口座維持手数料の徴収は海外の金融機関ではごく当たり前の商慣習であり、一定の残高を下回った場合には手数料が徴収されることがほとんどです。しかしながら日本では口座の維持は無料というイメージが強く、これまでも何回か手数料の導入が検討されたものの、利用者の反発を考慮して見送られたという経緯があります。今回、導入の方針がほぼ固まったということは、銀行にとっては背に腹はかえられないということなのでしょう。

 しかしながら、マイナス金利政策の結果として銀行の収益が低下し、その負担を国民が負うということについては異論が出る可能性があります。当初、日銀はマイナス金利政策の導入にあたって、国民が直接マイナス金利分を負担することはないと説明していました。しかし、政策導入の結果として口座維持手数料が導入されるということになれば、事実上の国民負担に限りなく近づきます。

 日本の場合、タンス預金というさらにやっかいな問題もあります。日本は先進国の中では突出した現金大国で、マイナス金利政策導入時にはタンス預金が増加するという動きが見られました。マイナス金利は量的緩和策の補完措置で基本的にはインフレを目指したものですから、本来であれば現金保有は不利になります。それでもタンス預金が増加したということは、現金に対する根強い信仰が存在していると考えられます。もしそうだとすると、口座維持手数料が導入された場合には、このときと同様、タンス預金が増えてしまうという皮肉な結果をもたらすかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)