取材に答える中村知事=愛媛県東京事務所(撮影:徳山喜行)

 平成27(2015)年の国勢調査から、日本が人口減少局面に入ったことが明らかになりました。かつてない規模と速さで進む人口減少を、自治体の首長はどのようにとらえ、どのようなビジョンで舵取りしていくのか ── 。約30年前から人口減少傾向が続いている、愛媛県の中村時広知事に、人口減少時代との向き合い方や、国と地方の関係のあり方などを尋ねました。(2017年12月末取材)

県と市町の間の二重行政、やめようと関係づくり

── 国、県、市の役割分担の中で、ヒエラルキーがあるということだったと思うんですが、知事の場合は、市長から知事になったということで、例えば県と市町で、かぶっている行政を役割分担したことはあるんでしょうか。

 これは就任以来、もう7年前から定期的に、県と市町連絡調整会議というのをやっています。ご指摘のあった二重行政のようなものはやめようと。協働したら、両方ともコストダウンにつながるねというのをどんどん絞り出して、じゃあ、今年はこれを実施しようと、やれるところはどこか、やってみたいところがありますというような。

 強制はしませんから、じゃあ、うちがちょっとやってみたいとか、そういうのを調整会議でやって、毎年実施に移しています。ちょっと今すぐ数字が上がってこないですけれども、この市町連絡調整会議によって幾らコスト削減できたかとか、そういうデータも全部分析して出していますので、これは愛媛県ならでは。大体どこのまちでも、県と県庁所在地ってあまり仲良くないんですよ。うちは、そこも含めて、しっかりスクラムを組んでいます。

── 具体的に、県から市町に移したことはあったんですか。

 そうですね。そこで出てきて移したものもたくさんありますし、例えば事業でいうと、市の土地に県の建物を建てて、お互いが仲良くそれを複合的に利用してやっていくとか、あるいは、庁舎なんかも最近は、町の庁舎に県の出先機関を融合させるとか、そういうのをどんどんやっていますね。

── やはり人口が減っていく中で、限られたリソースを、いろいろな人で使うというイメージ。

 そうですね。だから、たぶん他の地域と比べると、県内の基礎自治体と広域自治体の県と市町が、何でこんなにうまくスクラムを組めるのかということには、関係者の皆さん、驚きの声を上げられると思いますね。

── なぜできるんですか。

 僕自身が基礎自治体の長も経験して、国会議員もやらせていただきましたけれども、みんな仲間だったんですよね。基礎自治体としてのお互いの立場も理解し合えたので、自分が出るときは、まさにその人たちが、ぜひ県の仕事に挑戦してほしいというところから、県の仕事をやることにつながりましたので。だから僕の公約の中には、上下関係ではないパートナーとしての基礎自治体と県のチームづくりというのを掲げているんですが、それが見事にはまっているということだと思います。

 自転車施策というのを一つ例にとると、しまなみ海道というのは世界に出せるコンテンツだったので、第一段階は、しまなみ海道を世界のサイクリストの聖地にすると。第二段階は、愛媛全体をサイクリングパラダイスにする。第三段階は、そこの成功例をもって四国に呼びかけて、四国をサイクリングアイランドにすると。

 当初から、短期、中期、長期の目標を掲げているんですが、特に第二段階の愛媛をサイクリングパラダイスにするということに関しては、基礎的自治体、市長さん、町長さんが一緒になってくれなかったらできないんですよね。我が県では、市長さん、町長さんも、もうみんなロードバイク、クロスバイクに乗っています。愛媛サイクリングの日というのもつくろうということで、11月の第2日曜日だったかな。この日は愛媛サイクリングの日で、何をやるかというと、全市町で、規模はどうでもいいと、大きくても小さくてもいい、中身もそれぞれ自由と。ともかくこの愛媛サイクリングの日は、全自治体で一斉にサイクリングのイベントをやろうという日にしようという、それもチームワークだからサッとできちゃうんですね。

── いい関係を築いていることが、そのまま行政のコストメリットや、一体感みたいなものにつながっているんですね。

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