葉物が高騰するなど、野菜価格が不安定で家計のやりくりに苦心する中、納豆の消費が伸びています。2011年の東日本大震災時に供給不足に陥ったものの、以降は右肩上がりで伸びており、2016年の消費金額は過去最高を記録。2017年もこれを上回り過去最高を更新する見通しになっています。価格が安定していることに加え、和食人気や発酵食品ブームが後押しとなり、野菜不足を補う一品としてさらに納豆人気は高まりそうです。

高値続く野菜への生活防衛策? 納豆売れ行き好調

[イメージ]和食の朝食に納豆がイメージの定番でしたが、食費やりくりの一助と手軽に栄養補助できる面からも人気のようです(写真:アフロ)

 農林水産省が1月10日に公表した野菜の価格動向調査によると、昨年秋の台風や長雨の影響を受けて、ハクサイ、レタス、キャベツなど葉物野菜を中心に、平年に比べ2倍を超す価格に値上がりするなど、家計には厳しい状況が続きました。

 一方、納豆の売れ行きはここのところ、好調を維持しています。全国納豆協同組合連合会のまとめによると、納豆の年間消費金額は2012年以降、連続で伸びており、2016年は前年比8%増の2184億円と過去最高を記録。さらに2017年はこれを上回るペースが続いており、過去最高を更新する見通しといいます。

 この好調の背景は2013年に「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことや健康志向で発酵食品が見直されたことがあります。

 同連合会は「景気は回復基調にあるといわれるが、まだまだ財布のヒモは意外に緩んでいない。納豆は卵同様、価格が非常に安定しており、生活防衛策として手にする方が多いのではないか」と分析しています。 

手軽に栄養補う? におい控えめ商品開発や健康志向もブーム後押し

 納豆業界最大手のタカノフーズ(茨城)も「以前から野菜が高い時に納豆が売れるという傾向があると言われてはいたが、ここ数年は特にその傾向が強く見られた感がある。東日本大震災で供給サイドが被害を受けて落ちたが、その後は食物繊維やビタミンが豊富な納豆が注目され、さらに腸活や菌活ブームなど追い風もあって伸びているのではないか」と指摘します。

 また「野菜高騰時に栄養補助という面を打ち出して、スーパーマーケットなどの量販店が納豆のコーナーを充実させるといった工夫も功を奏しているのではないか」(納豆連合会)とみています。

 納豆というと東日本ばかりが人気と思われがちですが、「転勤族が東と西を行き来したりて納豆文化が西にも流れ込んだり、におい控えめの納豆の定着で、西日本でも昔と比べ毛嫌いされるムードはかなり少なくなった」(タカノフーズ)といいます。

 同社ではしそ海苔味や九州の甘めの醤油を生かしたタレを付けるなど西日本向けの商品にも力を入れているといいます。また、2017年には健康をサポートする特許取得菌「S-903」納豆菌を使用した「すごい納豆S-903」も投入。納豆特有の気になる臭いが少なく、毎日食べやすい納豆を全国的に売り込んでいます。

 日本政策金融公庫が昨年実施した「消費者動向調査」によると、現在の食の志向は「健康志向(44.1%)」と半数近くを占めており、経済性や簡便さの志向を上回る結果となっています。納豆連合会では「牛丼を食べるとき栄養補助として納豆も取りたいといった健康志向は強まっている。一過性ではない納豆の上昇傾向は続くのではないか」と話しています。

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