航空機大手の欧州エアバスが、総2階建ての超大型機エアバスA380について生産中止を検討していると報道されました。その後エミレーツ航空から発注があったため、当面は生産を継続できる見込みとなりました。しかし、米ボーイングもジャンボの愛称で親しまれた超大型機ボーイング747について生産を中止する方向性ですでに検討を進めているなど、世界の空から超大型機が姿を消してしまう日はそう遠くないかもしれません。

エミレーツ航空のエアバスA380(写真:ロイター/アフロ)

 エアバスA380はジャンボを超える超大型機として、2005年に鳴り物入りでデビューしました。総2階建てとなっており、圧倒的な客室スペースを活用して豊富な機内サービスを実現できるのがウリとなっています。

 エミレーツ航空などを中心に現在200機以上が空を飛んでいますが、受注残が少なくなっており、新規受注をほとんど獲得できていない状況でした。これに伴って生産も縮小傾向となっており、現在では月産1機にまで減っていたそうです。航空機は月産1機を割ってくると、ビジネス的に非常に厳しい状況に追い込まれます。エアバスの幹部が生産中止を示唆したのは当然の結果といえるでしょう。

 超大型機で苦戦しているのはエアバスだけではありません。米ボーイングは一昨年、ジャンボの愛称で親しまれたボーイング747の生産中止を検討すると表明。実際に生産中止の決定を下したわけではありませんが、新規の生産はほとんど行われていない状況です。

 A380やボーイング747といった超大型機が苦戦しているのは、全世界的に航空輸送が拡大したことが原因です。新興国の経済成長に伴い航空需要が急増。こうした需要に応えるため、多くのLCC(格安航空会社)が登場し、これがさらに航空輸送ビジネスの拡大に貢献しました。

 LCCはコスト勝負なので搭乗率を極限まで上げる必要があります。また途上国の場合、乗客数が少ない路線が多数存在するという市場構造のため、取り回しのよい中小型機が歓迎されます。大手の航空会社も競争の激化によって、基幹路線を飛んだ直後に、同じ機体をローカル路線に投入するといったきめ細かいオペレーションが必要となってきました。A380やボーイング747は、基本的に大量の乗客が見込める基幹路線にしか投入できませんから、航空会社としては効率が悪くなってしまうわけです。

 超大型機は、客室スペースが広く、機内サービスが充実しており、静粛性も高いことから、一部の顧客は熱烈に支持してきました。しかし航空機はもはや路線バスと同じになり効率が最優先される時代となっています。ゆっくりと空の旅を楽しむ時代は、もはや過ぎ去ったといえるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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