全豪オープンで3年ぶり9度目の優勝を果たした国枝慎吾の勝利法則とは?(写真・ロイター/アフロ)

全豪オープン車いすテニス男子シングルスで日本の国枝慎吾(33、ユニクロ)がフランスのベテラン、ステファン・ウデとの死闘を制し優勝した。グランドスラムの同種目で通算21勝を挙げ、“生けるレジェンド”と称される国枝だが、同大会の優勝は3年ぶり9度目。前回のグランドスラムでのシングルス優勝は実に2015年9月の全米オープンにまでさかのぼる。

 長らく優勝から遠ざかっていた背景には、2016年4月に受けた2度目の右肘手術の影響があった。その5カ月後のリオ・パラリンピックでは思うようなプレーができず、パラリンピック3連覇のかかったシングルスで銅メダル。大会後も辛いリハビリと並行し、肘への負担を考慮したバックハンドのグリップやフォームの見直しなどに取り組みながら、なかなか勝てない時期を乗り越えてきた。

 全豪オープン決勝ではセットカウント1-1で迎えた最終セット、速いサーブを起点とした攻撃でポイントを重ねるウデに5-2とリードされ苦しい展開となったが、持ち前の粘り強さと勝負強さでタイブレークに持ち込み大逆転。百戦錬磨の国枝も復活への確かな手応えをつかみ、「これまでの優勝の中で一番うれしい」と歓喜の涙を流した。

 その国枝が渡豪する3週間ほど前、忙しいスケジュールの合間を縫って、自身のコーチである丸山弘道が主宰する「車いすテニス・ジュニアチャンレンジキャンプ」(2017年12月13〜15日/静岡県掛川市)に特別コーチとして参加したことはあまり知られていない。丸山コーチは現在33歳の国枝を17歳の頃から指導し、世界王者に導いた功労者だ。キャンプのプログラムには「国枝慎吾特別セミナー」と題し、世界の舞台を目指す子どもの悩みや疑問に国枝が直接答えるという貴重な機会も設けられた。

 ちなみにキャンプに参加したのは、先天的・後天的に障害のある小学4年生から高校3年生までの男女12人。丸山が現在の実力や競技歴だけでなく、将来性や競技に対するやる気を見込んで召集した子どもたちだ。

 質問は国枝自身が鍛え上げてきたメンタルに関するものが多くを占めた。その一つ一つに丁寧に答える国枝の言葉には、試合中、彼が何を思いながら、どんな心理状態でプレーしているのかが垣間見えてくる。

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