土俵外の出来事ばかりが話題となっている角界だが、初場所には明るいニュースもあった。
 元横綱大鵬(故人)の孫、納谷(本名・納谷幸之介)と元横綱朝青龍の甥、豊昇龍(本名・スガラグチャー・ビャンバスレン)が初場所で初土俵を踏んだ。ともに“大横綱のDNA”を受け継ぐ話題性を持ち、しかも同学年。新弟子検査の受検こそ豊昇龍が昨年11月九州場所と一足早かったが、興行ビザ取得の関係で同じ初場所でのデビューの同期になった。

 運命的ともいえる偶然で、いやが上にも注目が集まっている。

 ただ、勝負の世界では「話題性」に目を奪われ、ポテンシャル以上に将来性が過大評価されるケースが、よくある。実際、彼らの本当の期待値、その可能性は、どの程度なのか?

 納谷は17歳にして身長188センチ、体重166キロというアンコ型の巨漢。今や角界の最大勢力ともいえる高校相撲の強豪・埼玉栄で腕を磨き、国体少年団体&個人を制した。新弟子のお披露目となった、初場所の前相撲は早々に3連勝、序ノ口からの降格力士5人を含む14人のうち新序出世一番乗りを決めた。

 特に3戦目は豊昇龍との注目の一番となったが、捨て身の首投げをかわしてすくい投げを決め、現状の力の差を見せつけた。豊昇龍戦は初場所5日目、元大鵬の命日である1月19日の前日18日だった。

「もともと緊張しない方」という納谷だが、さすがに注目度が高かったとあってか「今日はけっこう緊張しました」と苦笑いしていた。
 前相撲は取組相手が事前にではなく、当日に決まるため「当たるだろうな、と思っていました。楽しみというのではないけど、やってみたいとは思っていました」。
 アマチュアでの対戦は1度あった。高校2年秋の関東選抜大会決勝で勝った。「彼は力強いし、柔らかい。投げも出してくる。(久々に当たって)力つけてきたなと感じました」と豊昇龍の感想を語っている。それでも、勝ったのは納谷で、ゆっくりとしゃべる姿に大物感が漂った。

 大嶽部屋に入門し、すでに幕下クラスと連日30番前後の稽古をこなしている。
 母方の祖父が元大鵬である点がクローズアップされがちだが、父は元関脇貴闘力だ。あの「若貴時代」に同じ二子山部屋で活躍。史上ただ1人の「幕尻優勝」(幕内の番付最下位の力士が優勝すること)を飾るなど、勝負強さに定評があった。そのDNAも受け継いでいる。

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