銀行に続いて製薬業界でもリストラの話が出てきました。製薬会社の花形職業ともいわれるMR(医薬情報担当者)で早期退職を募集していることが話題になっています。人手不足であるにもかかわらず、なぜリストラが増えているのでしょうか。

(写真:アフロ)

 経済誌の報道によると、米メルクの日本法人は昨年、大量の早期退職者を募集しました。こうした動きは外資だけのものではなく、国内大手でも早期退職を募集するところが増えており、社員の数がかなり減っているそうです。

 メルクの日本法人の場合、全従業員の6%が対象となっており、製薬業界の花形職業といわれるMRも含まれます。MRはいわゆる営業職のことで、かつては予算をふんだんに使って医師を接待するなど、製薬業界を象徴する職種でした。最近ではこうした従来型の営業から、専門医療情報を医師に提供するという知的なスタイルにシフトしましたが、会社の稼ぎ頭であることに変わりはありません。

 こうした花形職種でもリストラを行うということは、商品の売れ行きがよくないということになるわけですが、日本は高齢化で薬品需要はむしろ拡大しているはずです。この矛盾を解くカギはジェネリック医薬品にありそうです。

 ジェネリック医薬品は、特許が切れた後に、同じ成分で製造された安価な医薬品のことです。当初は同じ成分といっても実績が少ないことから使用をためらう医師も多かったのですが、医療費抑制の流れから最近では一般的に使われるようになってきました。

 ジェネリック医薬品が台頭すると、医薬品の市場そのものは拡大しますが、新薬を主戦場にする大手の製薬会社にとっては厳しい環境となります。ジェネリック医薬品が台頭しているのは、製薬業界が成熟産業になったことの裏返しでもありますから、これは産業構造のシフトによるリストラと考えてよいでしょう。

 このところ何かと話題になっている銀行のリストラも同じです。メガバンク各行は大規模な人員削減策を打ち出しており、みずほフィナンシャルグループでは1万9000人の人員が削減される予定です。量的緩和策による低金利で銀行の収益が低下しているという事情はありますが、リストラを決断した最大の理由はフィンテックの進展で、銀行というビジネスに逆風が吹いていることです。

 産業の成熟化やイノベーションの発展は、時に大量の余剰人員を生み出すことになります。これからは人手不足とこうしたリストラが並立する時代となるでしょう。人が余っている仕事から人が足りない仕事に労働者がうまくシフトできる仕組みが求められています。

(The Capital Tribune Japan)

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします