NYダウが急落 史上最大の下げ幅(写真:ロイター/アフロ)

 5日の米国株はNYダウが1175ドル下落(▲4.6%)して過去最大の下げ幅を記録。終値は24345ドルと2017年12月8日以来の安値となりました。米国株は予想PERが18倍を超え、割高感が意識される下、長期金利上昇によって「配当利回り(2.2%)<10年金利(2.7-2.8%)」が顕著になり株式の魅力が低下。こうした下でこの日も売りが優勢となり、ほぼ全ての銘柄が急落しました。

【連載】マーケットの動きがわかる 経済指標深読み

混乱は長引くの?

 目下の混乱が収束する一つの目安としては、VIX指数が参考になります。この指標は恐怖指数とも呼ばれ、その上昇は金融市場の変動が大きくなる(と市場参加者が予想している)ことを意味します。VIX指数は5日に37.32まで急上昇しましたが、過去の経験則から判断すると半月から1カ月程度で200日平均値、あるいは15程度まで水準を切り下げる可能性が高いと言えます。

VIX指数

 今回の混乱が、世界経済が絶好調と呼ぶに相応しい状況で発生したことを踏まえると、例外的に長期化することは考えにくいからです(同時に短期間で収束する明確な根拠もない)。他方、2日の米国株急落の引き金となった米10年金利は2.706%(▲13.6bp)へと急低下。過去2営業日の上昇を全て打ち消しました。インフレ率の反転など金利上昇要因が揃うなか、株価下落で直ちに金利が下げることは、いかにも景気後退が近いことを物語っているようで不気味ですが、株価急落のきっかけとなった長期金利がいち早く低下したことは朗報といえます。パウエル議長を筆頭にFED高官が金利上昇を誘発するような発言を自重すれば、1カ月を超えて金融市場の混乱が長引く可能性が低下するとみられます。

日本株は?

 日本株の下値としては、TOPIXのPER14倍に相当する1750ptが一つの目安となりますが、これは本稿執筆中の日本時間午前(1730pt前後で推移)ですでに下回っていることから、PER13.5倍相当の1710pt、同13倍相当の1650ptが次なる目安となります。そこにNT倍率(日経平均÷TOPIX)12.5を乗じて日経平均に換算すると、PER13.5倍で下げ止まるなら2万1400円、同13倍なら2万600円となります。その間をとって2万1000円が下値めどとするのが妥当でしょう。上述のとおり米国株が落ち着くまでに半月から1カ月程度の時間を要するとの前提に立てば、この程度の下落を覚悟しておくべきです。

TOPIX PERバンド

(第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)
※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします