家族の有無によらない生活支援の仕組みづくり

 日本の人口は既に減少に転じていますが、世帯数の増加はもう少しの間続きます。そうした世帯数の増加の中で従来の標準世帯は減少し、家族の多様化が進展します。その中心にあるのは単独世帯の増加です。晩婚化が進んだことにより、未婚期間が長くなり、未婚であるために単身化するという人が増加しています。そうした人々は配偶者も子どももいないまま高齢期を迎え、家族による生活サポートを受けられない状況に置かれることになります。

 「3世代世帯は介護の含み資産」という言葉があったように、日本社会では家族による無償の支援を前提とした仕組みづくりが多くなされてきました。しかしながら、今やその前提は大きく崩れていきます。今後は家族による支援を前提としない仕組みづくり、公的サービスや地域社会のつながりの中で生活満足度を高めるような工夫をしていくほかありません。

 ただ、子どもの居住地でも示されるように、高齢単身者の全てが孤立状態になっているわけではなく、子どもからの生活サポートを受けられる人もいます。距離という地理的条件だけでなく、心理的な孤立感も一様ではないでしょう。多様化する家族、多様化する高齢者の実態を把握することの重要性は増してくると思います。

 注意したいことは、「子どもが近居しているから、あのお年寄りは放っておいてもいい」といった考えもよくないということです。昔と違ってきょうだい数も減っていますし、非正規労働の増加や女性の社会進出などによって、サポートする側の余力も少なくなっています。

 にもかかわらず、家族で対応できるものは家族でやらなければならないということが強制されるのでは、誰もが疲弊してしまいます。重要なのは、家族のサポートが得られるかどうかに依存せず、地域社会の中で豊かに暮らしていけることであると思いますし、そうした状況を達成できるような仕組みづくり、地域社会づくりが必要であるといえます。


丸山洋平

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得退学、博士(学術)
新宿自治創造研究所非常勤研究員、慶應義塾大学特任助教などを経て、2015年4月より福井県立大学地域経済研究所特命講師
主著に「戦後日本の人口移動と家族変動」(文眞堂)
専門は地域人口学、人文地理学、家族社会学

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