松坂の調整バロメータはクビの動き(写真・黒田史夫)

中日松坂大輔投手(37)が7日、沖縄北谷キャンプで3度目のブルペンに入り、キャッチャーを座らせて最多の66球のピッチングを行った。ブルペンの一番端っこの場所を陣取った松坂は、気温15度というのに半袖。手元に息をふきかけ暖めながら、ワインドアップからストレートにカーブを交えながら投げ始めた。途中、ステップの歩幅を確認。セットポジションに変えてストレートとカーブを投げた。まだ全力ではなく7、8割程度の腕の振りか。

 2日は立ち投げで32球、5日は立ち投げ43球、キャッチャーを座らせての13球と徐々にステップアップしているが、「前回よりは良かったです。いつもの僕だったら今日なら100球を超えていると思います。自分の感覚で、いい時はどんどん投げたいと思うタイプなのでね」と、自分を抑えながら、慎重なペースを守っていることを明らかにした。

 今度痛みを再発させたら終わりである。本人も、まだ7割くらいの力の入れ具合だという。

 だが、ソフトバンク時代の3年間の松坂をカバーしていた評論家の池田親興さんは、「ホークスの3年間を見てきたが、今の松坂が一番強いボールを投げている。こんなに強いボールを投げられるのかと驚いた」と貴重な証言をした。

 松坂の調整具合をチェックするには、ひとつの目安があるという。

「悪いときはクビの動きが大きくなる。おそらく肩への不安がどこかにあるので、無意識のうちに肩をかばい、逆にクビをふることで反動をつけて強いボールを投げようとするのでしょう。そうなるとフォームがぶれリリースが安定せずにボールがぶれる。肩甲骨周りの稼動域も小さくなる。今日、見た松坂はクビの動きが小さく、フォームとボールのリリースポイントに安定感があった。ストレートも綺麗なスピンのかかったフォーシームが目立っていた。新しい松坂のスタイルはボールを動かしバットの芯を外すスタイルになるのだろうが、大前提として強いストレートがなければ、そのスタイルも通用しない。今の段階として、ぶれないフォーム、質のいい強いストレートにこだわっていることの意味は大きい」

 松坂は、肘、肩を故障して以来、投げる瞬間に顔の向きを変え、クビを振るようにして反動をつける癖があるが、確かに、そのクビ振りの動きが小さくなっている。池田さんは、松坂が昨年3月25日にヤフオクドームで行われたオープン戦の広島戦で見せた7回102球のノーヒットピッチングを見ているが、「あのときの松坂と比べても今日のボールの方が強く力があった」という。

「怖いのは、投げすぎること。慎重にやっているようだが、それが正解だろう。このまま順調に進めば、開幕からローテーに入る可能性が出てくると思う。松坂の復活に男気を見せる森監督は、間違いなく開幕から間隔を空けながらローテーで使うだろうし、そうなれば不安だった先発陣に相乗効果が生まれるかもしれない」

 松坂の暗黒のソフトバンク時代をよく知る池田さんだけに、その評論にも説得力がある。不透明だった松坂の復活ロードが徐々に明るくなってきた。