阪神の掛布SEAがヤクルトキャンプを視察した(写真・黒田史夫)

 阪神の掛布雅之オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー(62)が9日、沖縄浦添で行われているヤクルトキャンプを視察。千葉の習志野高の2年後輩にあたる小川淳司監督から今季のチーム方針や選手の育成の考え方などについて情報を収集、紅白戦、メジャーから7年ぶりに古巣に凱旋帰国した青木宣親、バレンティンの「ランチ特打」まで熱心にチェックした。

 掛布SEAのキャンプ視察は、この日が初。1988年の現役引退以降、「野球選手のお正月である2月1日は必ず阪神のキャンプ地からスタートしたい」と、評論家時代、阪神育成&打撃コーディネーター、阪神2軍監督を通じて28年間、必ず2月1日には阪神のキャンプ地にいた。だが、2018年の2月1日は、関西で坂井信也オーナーに同伴する仕事があり、29年目にして初めて阪神のキャンプ地にいなかった。

 掛布SEAは、「評論家のキャンプ視察ではない。ある程度の距離感を持って他球団を見なければならない。得たものを阪神にどう還元できるかを考えながらの視察になる」と、フロントとしての立場を強調した上で、ヤクルト視察の感想を口にした。

 まず肌感覚で感じたのは最下位に沈んだチームの空気の変化だ。

「去年の悔しさは当然あるでしょうし、新体制がスタートして変わろうとしているというのはすごく感じた。空気感が違った。ピーンと張り詰めたような緊張感があった」

 ヤクルトは小川監督が復帰、同時にコーチ陣を一新、“鬼コーチ”の宮本慎也がヘッドとしてチームに11時間にわたる猛練習を課し、練習の合間に“一服”するような時間は、ほとんどない。広島から移籍した石井琢朗打撃コーチが、様々なアイデアとテーマを練習に持ち込み、レベルアップに工夫している。キャンプ初日に宮本ヘッドが「声を出せ!」と怒鳴るなど、確かに例年はメディアも少なく奔放でノンビリムードのヤクルトキャンプに違った緊張感が漂っているが、掛布SEAは、その違いを一発で見抜いた。

「勝負をしながらも今年すぐというわけではなく選手の意識を変えようとしているんじゃないか」

 取材などを通じて顔見知りの青木からは、「掛布さん、痩せられたんじゃないですか」と挨拶された。掛布SEAは、その青木効果に“警戒警報”を鳴らす。

「うまくてバットスイングも強い。ほとんどのボールを芯でとらえるセンスとテクニックがある。アメリカでのブランクも感じないね。これまで3度首位打者をとっている実績もある。彼の場合、よくあるメジャーリーガーが凱旋して苦労するということはないんじゃないか。そうなるとチームに刺激を与える。とくに刺激を受けるのは山田じゃないか。昨年は、川端や畠山が故障したことで、マークは山田に集中していたが、今年は、青木が入って外野争いが激しくなり、川端も、怪我の影響を感じさせないし、バレンティンも振れていた。そうなる。と山田が楽に打てるようになる。今日見た山田の状態は、それほど目を見張るものではなかったが、トリプルスリーの復活もあるのかもしれない。ヤクルトの課題は投手陣だろうが、本来打線に関してはタイトル実績と経験のある選手ばかり。ある程度の形にはなるんじゃないか」

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