国際政治学者の三浦瑠麗氏が、テレビのワイドショーで、「北朝鮮の暗殺部隊が東京や大阪などに潜んでいる」と発言したことが物議を醸しています。これに対して著述家の古谷経衡氏は、「日本の公安組織が、北朝鮮テロリストの潜伏を簡単に許すほど能力が低いとは思えない」と三浦氏に真っ向から反対しています。日本の公安組織は、本当にそれほど能力が低いのでしょうか。

写真:アフロ

 三浦氏はテレビのワイドショー番組に出演し「スリーパーセル」と呼ばれる北朝鮮の暗殺部隊が日本の大都市、特に大阪に潜んでいると発言しました。北朝鮮の指導者である金正恩氏が殺害された場合には、彼等はテロリストとして一斉に破壊活動などを行うとのことです。三浦氏は米国と北朝鮮が戦争状態となった場合には、日本国内の大都市がこうしたテロの標的になるので非常に心配しているとも発言しています。

 こうした見解に対して、著述家の古谷氏は、一種の妄想だとバッサリ切り捨てています。古谷氏は、一般人である三浦氏がこうした事実を掴んでいるのであれば、当然、公安組織による捜査が進んでいるはずだと主張。現時点では妄想に過ぎないとしています。

 日本には、警察庁が管轄する公安警察や、法務省が管轄する公安調査庁など複数の公安組織があり、内閣府には諜報機関として内閣情報調査室が置かれています。かつて日本の公安組織は国内の過激派対策が主業務でしたが、こうした活動は、現在はほとんどなくなっています。

 現時点において公安組織における最大の懸念事項が北朝鮮問題であることは間違いありません。組織の性質上、活動のすべては明らかにされていないものの、リソースの多くが対北朝鮮問題に投入されていることは確実でしょう。

 工作員が潜伏するには、多額の資金や、資材を保管する場所などが必要となります。北朝鮮関係の資金や資材のルートは、拉致問題などをきっかけに徹底的にマークされており、公安組織による監視の目をくぐり抜けて活動を継続するのは容易なことではありません。特に公安警察は各県警の警察署レベルまで網羅した巨大組織であり、突出した捜査能力を持っています。

 北朝鮮に限らず、どの国も諜報活動に従事する人物を送り込んでいるのは常識であり、これは友好国でも同じです。ジャーナリストや外交官という肩書きで、実際には諜報活動をしている人はザラにいます。

 しかし、本格的な破壊活動を行う工作員が多数潜伏しているというのは、公安組織の能力を考えれば、やはり思い込みという部分が大きいでしょう。古谷氏は「なぜ三浦氏が、そこまで日本の公安組織を信用できないのか不思議だ」とも発言しています。

(The Capital Tribune Japan)