米国株の急落をきっかけに一気に円高が進んでいます。なぜ円高が進んでいるのでしょうか。また、さらに円高は加速するのでしょうか。

FRB新議長に就任したばかりのパウエル氏(写真:ロイター/アフロ)

 外国為替市場では米国株の急落以降、円高が進み14日には、1ドル=107円を割り込みました。この水準になってくると、日本の製造業などの業績にも影響が及ぶ可能性が高まってきますし、日本の株式市場にとってはかなりのマイナスとなります。政府が掲げるデフレ脱却にも逆風でしょう。

 基本的には米国の株価急落を受けての動きであり、株安を嫌ったマネーが円に向かったわけですが、値動きをさらに細かく見ていくと、必ずしもそうとはいえません。

 米国株が下落した時点では、円高ではなくむしろ円安(つまりドル高)に振れています。その後、ドルが売られる展開となり、円高につながりました。株安直後はドルが買われたという点がポイントです。株価が急落したとはいえ、米国経済は現在、絶好調です。経済が好調なところにトランプ政権はさらに減税という燃料を投下しましたから、景気が過熱するリスクが指摘されていました。

 今回の株価急落は、景気の過熱や物価上昇によって金利が上昇し、相対的に株式投資が不利になる可能性について市場が懸念したことで発生したと考えられています。好調な米国経済を背景にした動きなので、株価急落直後は、むしろドルが買われたわけです。

 しかし、しばらく時間が経過すると、金利の上昇はむしろ景気の足を引っ張るのではないかとの懸念が台頭し、逆にドルが売られ始めました。つまり現時点では、金利上昇が株式市場にどのような影響を与えるのか探っている段階といえるでしょう。

 もしそうなのだとすると、ここからさらに際限なく円高が進む可能性は低いと考えられます。問題はどこで為替が落ち着くのかですが、日米の中央銀行のスタンスによって変わってくることになりそうです。

 米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)はパウエル議長が就任したばかりで、具体的な活動はこれからです。日銀の黒田総裁は続投がほぼ確定しましたが、次期副総裁はまだ決まっていません。中央銀行のスタンスがはっきりしていないことも相場変動の原因となった可能性があります。

(The Capital Tribune Japan)