日本人の平均寿命は世界トップクラスになりました。長寿は喜ばしい一方、人口減少が始まった社会で多くを占めることになる高齢者を支える仕組みをつくることができるのか、重い課題が突きつけられています。

 福井県立大地域経済研究所特命講師、丸山洋平氏が、人口移動や家族の姿の変化から、日本の人口を捉えるための視点について執筆する本連載。最終回は「長寿化の帰結~高齢化社会と多死社会の到来~」がテーマです。

人口減少時代

[イメージ]これから日本は増える高齢者をどう支える社会になるか、問われています(写真:アフロ)

 人口減少時代を考える上で避けて通れないのが、高齢化の問題です。人口減少は単なる人口の量的減少だけでなく、年齢構造の高齢化を伴って進行していきます。日本の総人口は既に減少を始めていますが、高齢者(65歳以上人口)は増加を続けており、高齢者が総人口に占める割合である高齢化率も上昇を続けています。このような高齢化の背景は少子化ではなく長寿化です。そして長寿化の先には死亡数が多くなる社会、多死社会が到来します。

高齢者はどのくらい長生きするようになったか

[図1]日本の男女別65歳の平均余命(資料:厚生労働省「完全生命表」)

 日本人がどのくらい長寿化したのかということを考えるには、平均寿命を見るのがよいでしょう。これは生命表から計算されるものであり、正確には0歳時の平均余命です。男性は1980年に73.6歳、2015年に80.8歳であり、35年間で寿命が7.2歳伸びました。同様に女性は1980年の79.0歳から2015年の87.0歳へと8.0歳寿命が伸びており、男女ともに約10%の伸びになっています。

 これだけでも日本人が長生きするようになってきたことはわかりますが、別の指標として、65歳の平均余命を見てみましょう。これも生命表から計算されるもので、高齢者がどのくらい長生きするようになったかを表すものになります。

 図1には、その戦後の変化を示しています。1947年では男性10.2歳、女性12.2歳でした。戦後直後の時代では、高齢期は概ね10年程度であったということがわかります。その後は65歳の平均余命は伸長を続け、2015年には男性19.4歳、女性24.2歳となりました。1947年のほぼ倍であり、男女差も拡大しています。

 2015年以降も高齢期の死亡率は改善していますので、65歳の平均余命もしばらくは伸長するでしょう。恐らくこれから先、高齢者として20年以上生きることは当たり前の時代になると思います。また、平均余命の男女差も拡大していますから、夫に先立たれた高齢の未亡人が、ひとり暮らしをする期間も延びることになるはずです。

 より長生きしたいという願いは、どの時代、どの社会でも持たれるものです。そして、日本はその願いを実現してきました。今、私たちが向き合っている高齢化社会とは、そうした願いが実現した結果でもあるのです。

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