羽生はブランクを乗り越え完璧な演技でSP首位に立った。写真左はオーサーコーチ(写真・アフロスポーツ)

 平昌五輪のフィギュアスケートの男子シングルSPが16日、現地で行われ、羽生結弦(23、ANA)が五輪の舞台で完全復活、最高のスタートを切った。2か月のブランクを作った右足首の故障をまったく感じさせない演技で、4回転サルコー、トリプルアクセル、4回転+3回転のトゥループの連続ジャンプのすべてを成功させ111.68点でSPをトップ発進した。

 2位はハビエル・フェルナンデス(26、スペイン)の107.58点。宇野昌磨(20、トヨタ自動車)は4回転フリップを成功させ104.17点で3位につけた。4位は4回転ルッツ+3回転トゥループの連続ジャンプを成功させた金博洋(20、中国)の103.32点。羽生の最大のライバルと言われたネイサン・チェン(18、米国)は、果敢に4回転ルッツを狙ったが、転倒。すべてのジャンプに失敗して82.27点の17位に終わり金メダル争いから脱落した。

 最終組の第1滑走者として羽生の名前がアナウンスされると大歓声が巻き起こりリンクの周りに日の丸が揺れた。曲はショパンの「バラード第1番」。事前に配られたプログラムの予定では、冒頭に4回転ループと書かれていたが、羽生が選択したのは4回転サルコーだった。

 美しく着氷すると、得意のトリプルアクセルは余裕を持って成功。GOEは満点の「3.00」評価だった。4回転トゥループ+3回転トゥループの連続ジャンプも成功。完璧な演技を見せた羽生は、静かに喜びを噛み締めるような表情を見せた。涙をこらえているようにも感じられた。

 両手を上げて会場のスタンディングオベーションに応えると、祝福の「くまのプーさんのぬいぐるみ」が次から次へとリンクへ投げ込まれた。リンクを出ると羽生はブライアン・オーサー・コーチと抱き合った。得点は自己ベスト(112.72)に迫る111.68点。羽生はオーサー・コーチとつないでいた手を高く掲げた。故障の不安を一掃する最高の演技だった。やはり羽生は次元の違うスケーターだった。

 競技後、羽生はミックスゾーンでの代表インタビューに笑顔で答えた。

「とくに不満な点もなく、自分自身も疑問に思うエレメンツも何もなくできたので、非常にうれしく思っています。でも自分の滑走順だとか、サポートメンバーだとか、応援くださっているファンの方々、日本の方々を含めて世界中の方々、本当に自分は恵まれているなあと思いながら今日は滑ることができたので、また明日に向かってやりたいと思います」

── どうしてこんな演技ができたのか。

「僕はオリンピックを知っていますし、大きいことを言うなと言われるかもしれませんが、僕は元……今は元と言えばいいのかな。元オリンピックチャンピオンなんで。リベンジしたい。オリンピックチャンピオンと言ってからリベンジしたいというのは、おかしいですが、自分にとって(ソチ五輪での)フリーのミスが、ここまで4年間、がんばって強くなったひとつの原因だと思っているので、また明日に向かってリベンジしたいという気持ちが強いです」

── 冒頭を4回転サルコーに決めたのはいつ?

「ここにくる前にサルコーで練習していました。いろいろ調整が間に合わなかった部分もあったのかなとも思いますが、点数にも満足しているのでサルコーにして良かった」

── 明日のフリーにむけて?

「とにかくやるべきことをやってきました。2か月間、滑れなかった間も、努力を続けてきました。その努力をしっかり結果として出したいなと思います」

 その表情は自信に満ち溢れていた。
 メダルが決まる男子フリーは明日17日に同時間に行われる。

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