昨年10月の中国共産党大会で政治局常務委員を退任した王岐山氏が、再び政治の表舞台に復帰する可能性が高まってきました。王氏は、習近平政権のキーマンと言われていますが、果たしてどのような人物なのでしょうか。

引退した王岐山氏が復活、習近平氏3期続投へ道? 王岐山氏ってどんな人?(写真:ロイター/アフロ)

 王岐山氏は習氏が党総書記に就任した2012年の党大会で常務委員入りしました。中国は共産党による独裁国家ですから、政府よりも党の方が上位に位置しています(つまり主権者が国民ではなく共産党)。7名からなる政治局常務委員は党の最高指導部と呼ばれており、彼等が中国のリーダーということになります。

 常務委員には序列があり、王氏は下から2番目でしたが、実際には習氏に次いで、事実上のナンバー2と言われてきました。その理由は、王氏と習氏は若い頃からの信頼関係があるからです。

 1960年代、中国では文革(文化大革命)の嵐が吹き荒れ、そのあおりを受けて習氏は地方に「下放」されていました。その時に知り合ったのが王氏で、王氏は習氏の兄貴分としていろいろ面倒を見たと言われています。

 中国の権力闘争は日本では想像できないレベルの激しさで、時には身の危険を伴います。習氏は、王氏が常務委員入りすると、すぐに中央規律検査委員会書記に就任させました。この組織は、幹部の不正を摘発する役割がありますが、現実には政敵を逮捕・投獄するなど、粛清工作に用いられます。王氏は腐敗撲滅という習政権のスローガンをフル活用し、習氏と対立する政敵を次々と摘発していきました。こうした役職はよほど信頼できる人でなければ任せることはできませんから、習氏の信頼がいかに厚いのかが分かります。

 中国共産党最高指導部には68歳定年の慣例がありますが、習氏はこの慣例を破り、3期連続で党総書記に就任するという野望を持っています。そのためには王氏のような人物が不可欠といってよいでしょう。

 現在、69歳の王岐山氏が再び要職に就いた場合、定年の慣例は破られますから、最終的には習氏の3期続投へ道が開けることになると考えられます。

 王氏は1月、国会に相当する全人代(全国人民代表大会)代表に選ばれましたが、常務委員が退任後に全人代の代表に選出されるのは異例のケースです。中国メディアの報道によると、王氏は国家副主席に就任する可能性が高く、もしこれが実現すれば、習氏への権力集中がさらに強固なものになるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)