日銀の黒田総裁の続投が固まりました。とりあえず量的緩和策は継続ということになりますが、実質的に日銀は量的緩和策の縮小を始めています。一方、副総裁候補には量的緩和について積極的な人物の名前があがっていますから、状況は混沌としています。

続投が固まった日銀の黒田東彦総裁(写真:ロイター/アフロ)

 安倍政権は、4月に任期が切れる日銀の黒田東彦総裁について続投させる人事案を提示しました。政府・日銀の2%の物価目標も据え置かれる見通しで、従来路線が継続することになりました。

 日銀は2013年から量的緩和策を実施しており、2016年1月にはマイナス金利政策の導入に踏み切りました。量的緩和策実施直後は、物価は上昇基調となりましたが、その後、物価上昇は鈍化し、2%という物価目標には遠く及ばない状況が続いています。

 量的緩和策は副作用が大きい政策であり、いつまでも続けられるものではありません。市場では日銀が購入できる国債が枯渇しつつあり、緩和策を継続できなくなるリスクが懸念されはじめています。また景気が絶好調な米国はすでに量的緩和策を終了しており、欧州中央銀行も欧州の景気回復を背景に出口戦略に舵を切る方針を固めました。

 日銀はすでに外堀を埋められた状況であり、従来の規模の緩和策を続けにくい状況となっています。実際、日銀が購入する国債の量は2017年に入ってから激減しており、現在は年間30兆円と、当初の計画であった年間80兆円のペースを大きく下回っています。

 しかしながら政府は2%の物価目標は変えていませんから、日銀の表向きのスタンスと実際の行動についてどう整理を付けるのか難しい状況となっています。

 こうした微妙な時期ですから、黒田氏以外の人物を日銀総裁に就任させることにはリスクを伴います。黒田氏は、今後、2%の物価目標は据え置きつつ、事実上の撤退戦を行うという難しい舵取りを迫られることになるでしょう。

 市場では、今年中に何らかの見直しが行われるとの見方が高まっていますが、一方では、さらに量的緩和策を強化すべきという声も上がっているようです。3月に任期が切れる副総裁には、量的緩和策を強く主張してきた若田部昌澄早稲田大学教授が就任する見込みです。若田部氏は現実主義的な人物といわれますが、量的緩和策の拡大を主張した場合には、出口戦略が後退する可能性も出てくることになります。

(The Capital Tribune Japan)

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