[写真]2014年9月に突然噴火した御嶽山。今回の草津白根山も明確な前兆らしい変化がなく噴火した(写真提供:防衛省統合幕僚監部/ロイター/アフロ)

 各地で火山活動が活発化がみられます。先月23日には草津白根山(群馬・長野県境)が噴火。30日には蔵王山(宮城・山形県境)、2月に入ると、霧島連山(宮崎、鹿児島県境)の御鉢、硫黄山が相次いで噴火警戒レベル2に引き上げられました。桜島(鹿児島県)では19日に爆発的噴火が起こっています。一方で、草津白根山の噴火は、2014年9月の御嶽山(岐阜・長野県境)の噴火と同じく、はっきりとした前兆がなく起こったことが注目されました。噴火予知はなぜ難しいのか。地球物理学者で武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏に寄稿してもらいました。

【図表】草津白根山が噴火 「噴火速報」と「噴火警戒レベル」とは?

最も警戒された火山の一つ

 群馬県の草津白根山が1月23日に噴火しました。気象庁からは事前に何の警告もない噴火だったので、噴火口から100メートルあまりしか離れていないスキー場にいた15人ほどが死傷する事故になってしまいました。しかし火山学的には、この噴火は2014年の御嶽噴火の1/10以下という小さなものでした。水蒸気噴火だったと思われています。たまたま人がごく近くにいたので大きな被害を生んでしまったのです。

 実は草津白根山は、日本にある活火山110あまりのうちでも、最も警戒されていた火山で、現に2007年に気象庁が「噴火警戒レベル」を設定し始めたときにも、一番初めに設定されたグループに入っていました。

 草津白根山は標高2160メートルの大きな山で、山頂である白根山(しらねさん)は北部にあり、中央に逢ノ峰(あいのみね)、南部に本白根山(もとしらねさん)の3つのピークがあります。観光地としても有名な湯釜(ゆがま)は白根山の山頂近くに位置し、直径は約300メートル、深さは30メートルあります。水温は約18度と、それほど高くはありませんが、ここの水は白く濁ったエメラルドグリーンという不思議な色で、これは火山ガスが溶け込んでいるせいです。

 湖水のpHは約1で、世界でも有数の酸性度が高い湖で、これは火山ガス中の塩化水素や二酸化硫黄が水に溶け込み、塩酸や硫酸となったためです。このほかにも火口湖があり、山頂部には北東から南西に並ぶ水釜、湯釜、涸釜(かれがま)の3 つの火口湖があります。

 いままで草津白根山は、もっぱら火山性の有毒ガスを出す火山として活動を続けてきたので、その火山ガスが出ている北部の白根山だけを警戒していました。

 地震計をはじめ、火山ガスや地殻変動の観測器は、北部に集中していました。つまり、今回の噴火が起きた南部はノーマークだったのです。また噴火の様式としても、今回の噴火のように、ほとんど火山ガスを出さず、爆発的な噴火を起こすとは想定されていなかったのでした。