米トランプ政権が大規模な減税に踏み切ったことで、米国での販売比率が高い企業を中心に、日本企業も恩恵を受け始めています。しかし減税で大幅な増益になる企業がある一方、逆に減益になるところもあります。なぜ減税されるのに利益が減ってしまうのでしょうか。

写真:アフロ

 トヨタ自動車は、トランプ減税の効果によって2018年3月期の純利益が2919億円増える見通しを明らかにしました。ホンダも同様に3461億円の上振れとなっています。トヨタもホンダも、北米市場が主戦場ですから、減税によって利益が増加するのは当然といえば当然です。しかしJVCケンウッドや、セイコーエプソンといった企業は、減税によって逆に減益となる見通しです。

 企業の最終利益は、税引き前利益から法人税を差し引いて算出されますので、一般的には税金が安くなれば、その分だけ利益が増えるはずです。このような逆転現象が起きているのは、繰り延べ税金資産の処理と関係しています。

 法人税は一般的に企業の利益に対して課税されますが、会計上の利益と税務上の利益が一致しないケースは少なくありません。例えば資産の減損といった処理は、会計上は減損が発生する可能性がある場合には、即座に損失に計上すべきものですが、税務上は損失計上できないケースが出てきます。

 この場合、損失計上できずに発生した税金分については「繰り延べ税金資産」として計上することになりますが、来期以降の税金が安くなる場合にはこれを取り崩す必要があり、会計上は減益要因となります。

 繰り延べ税金資産は、あくまで会計上の概念であり、実際にお金が動くわけではありません。来期の決算がこの関係で増益になったケースでも減益になったケースでも、最終的には減税によって手元の現金が増え、企業の利益は増えていきます。

 今年の春闘では3%の賃上げをめぐって議論が行われていますが、減税によって得られた利益が国内に還流するのかはまた別の話です。このところ製造業各社は米国への投資を拡大しており、米国で得られた利益はそのまま設備などに再投資されるケースが多くなっています。減税分がそのまま国内の賃上げにつながるわけではなさそうです。

(The Capital Tribune Japan)

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします