スウェーデンの衣料品大手「H&M」は日本でも人気のファストファッション・ブランドとして知られているが、先月、販売したパーカーのメッセージ内容や、オンラインストアに掲載された写真のモデルの男の子が黒人であったため、欧米で非難が殺到。「人種差別的」という指摘と非難はSNS上で拡散され、同社は謝罪し、問題となったオンラインストアの写真は削除された。しかし、人種問題に配慮を欠いた広告が問題となったのは今回が初めてではない。SNSによって情報が瞬く間に拡散される現在、人種をステレオタイプ化する広告も含め、他者に対する「インセンシティビティ(鈍感さ)」は、企業にとっても自らの首を絞める行為となる。

●「ジャングルで一番カッコいい猿」のロゴ

 騒動が大きくなったのは先月8日のことだった。その少し前から自社のオンラインストアで新作ラインナップの紹介と販売を行っていたH&Mは、子供向けパーカーで複数の子供モデルを起用し(白人の男の子も含まれていた)、それぞれの子供が色違いのパーカーを着た写真を掲載していた。黒人の男の子が身に着けていたパーカーには、胸の部分に「世界で最もカッコいい猿」という言葉がプリントされていた。

 H&Mのオンラインストアに掲載された写真は、多くの消費者によってスクリーンショットで記録され、それらは同社に対する抗議のメッセージとともにSNS上で紹介された。H&Mは9日に謝罪声明を出し、モデルの写真をオンラインストアから削除し、パーカーの販売も停止すると発表。しかし、消費者からの抗議は収束には向かわず、人種差別に抗議する有名アーティストがH&Mとのコラボを解消する騒動にまで発展した。

 「Monkey」という言葉は猿を意味するが、黒人を侮蔑する際に用いられる差別用語としての意味も持っている。イギリス英語には「Cheeky Monkey」という言葉があり、これは直訳すると「生意気な猿」となるが、わんぱくな子供を意味する言葉として、人種に関係なく肯定的に使用されている。しかし、小さな黒人の男の子に「世界で一番カッコいい猿」というパーカーを着せた写真をオンラインストアに掲載するのは、人種問題に対する配慮が欠けていたと批判されても仕方がない事例だ。ヨーロッパではプロサッカーの試合で、一部の差別的なファンが黒人選手に対して猿の鳴きまねをチャントしたり、ピッチにバナナを投げ込んだりする事例も相次ぎ、以前から大きな問題となっていたからだ。

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