ニコンを手にするマリリン・モンローの中吊り広告(撮影:志和浩司)

 ニコン創立100周年記念キャンペーン「恋した瞬間」で使われているマリリン・モンローの写真が注目されている。笑顔のモンローがニコンの名機「F」を手にしたカットで、同社公式サイトをはじめ首都圏各線の中吊り広告などに展開されているのだ。なぜ、モンローなのか。

伝説のフォトセッション「マリリン・モンロー 最後のポーズ」

 これは1962年、モンロー死去の6週間前にファッション誌『VOGUE』の撮り下ろし企画として写真家バート・スターンが撮影した写真だ。「マリリン・モンロー 最後のポーズ」として伝説となったフォトセッションの一場面だという。

 撮影された場所は、モンローが10年以上もの長きに渡り滞在していたロサンゼルスのホテル・ベルエアのスイート・ルームだ。ジョー・ディマジオやアーサー・ミラーと結婚していた時期も、その10年に含まれる。いわばきわめてプライベートな空間で撮影されたことになる。撮影は3日間2500カットにおよぶ大規模なもので、後にモンロー最後の写真集『The Last Sitting』にまとめられている。

 スターンはニコンの愛用者として知られ、同社公式サイトの説明文によると、「モンローはバートの愛機であるニコンのカメラを横取りし、無邪気で愛嬌たっぷりの姿も見せている。マリリン・モンローが、ニコンのカメラに恋をした瞬間だったのかもしれない。まさにニコンにとって夢のような出来事であり、ニコン100年の歴史の誇りの一つとして永遠に刻まれるだろう」とのことだ。60年代にはすでに世界中で愛用されていたニコンのステータスの高さを物語るエピソードの一つといえる。

 戦後、高度成長の波に乗って日本の産業が発展を遂げる中、ニコンは1950年代にはすでにワールドワイドなブランドになっていた。とくに1959年に発売されたニコンFは、プロ用一眼レフとして他の追随を許さない信頼を勝ち得た。ニュースに満ち溢れる世界のあちこちで、ニコンは愛用されたのだ。ハリウッドでも神話的存在となったモンローは、ニコンのステータスの高さを表現するのにピッタリなアイコンといえるだろう。