メドベージェワ(左)の猛追も金メダルはザギトワ(中)に。その採点を巡って議論が起こっている(写真・ロイター/アフロ)

 究極のハイレベルな争いとなった女子フィギュアのフリースケーティングは、ショートプログラム(SP)首位だったアリーナ・ザギトワ(15、OAR)が、156.65点、“女王”エフゲニア・メドベージェワ(18、OAR)も同じく156.65点の同スコアに終わり、SPで首位に立っていたザギトワが、そのリード分、わずか1.31点差で金メダルを獲得した。だが、その両者の採点を巡って海外では早くも議論が巻き起こっている。

 パーフェクトな演技に見えたメドベージェワが逆転できなかったことに疑問を投げかけたのは、ソチ五輪アメリカ代表のアシュリー・ワグナー(26)だ。ザギトワの金メダル決定後に3本続けてSNSにツイートした。

「うーん。あの(競技の)後で言えるのはこれだけ」とつぶやき、続いて驚きと困惑が混じったような表情の動画をアップした。さらに、「最後に楽しませてくれた今夜のトップ3選手へ」と感動しながら拍手をする動画で締めくくったが、何やら意味深なツイートだ。

 ワグナーは、欧州選手権でザギトワがメドベージェワを破って優勝した際にも、技術基礎点が1.1倍となる後半に7つのジャンプをすべて詰め込む“得点重視”の芸術性を無視したともいえるザギトワの戦略的なプログラムを批判していた。

「技術的には完璧で、その競争心には敬意を表します。でもこれはない。プログラムではない。彼女の前半は空っぽで、後半がカオスになった。これは演技ではない。採点の仕組みがそうさせていて、彼女のことを責め
ることはできないが、私は楽しめなかった。これはフィギュアスケートではないと思う」

 それだけに「アンナ・カレーニナ」の世界をまるで劇場作品のごとく美しく華麗に演じきったメドベージェワが逆転できなかったことに疑念を投げかけたのだろう。

 英国のBBCも「最後に滑ったメドベージェワは、ザギトワに十分に追い付いたように見えたが、審判たちは、2人に同じ得点を付けた」とザギトワの金メダルを批判的に報じた。

「わずかに有利な状況でフリースケートに入ったザギトワは、力強い演技を見せたが、3回転ルッツの着氷で小さなミスが出た。メドベージェワは素晴らしい演技で、すぐに続き、審判の得点結果が発表された後、観客の一部からはブーイングが起きた」とも伝えた。

 BBCは、1980年冬季五輪レークプラシッド大会で男子フィギュアで金メダルを獲得したロビン・カズンズ氏(イギリス)の演技分析も掲載した。

「ザギトワは乗っていたが、自分の心には響かなかった。メドベージェワは、我々にすべてを届けてくれた。その通り彼女のジャンプは小さかったが、それらは綺麗だった。彼女の演技は見事だった。彼女はショックを受け、我々のほとんどもそうだったと思う」と、ザギトワの金メダルに問題提起を行った。

 演技構成点では、メドベージェワは「音楽の解釈」の部門で5人が10点満点をつける9.89点の高得点を稼ぐなどして77.47点をマークしたが、ザギトワも75.03点と大健闘。本来、ザギトワを上回っているはずの芸術性、表現性の部分で、それほど大きなリードを奪うことができなかった。

 ザギトワの金メダルに批判的な意見のほとんどは、この差がもっとあっても良かったのではないか?という見解だ。ザギトワは、後半最初に3回転ルッツ+3回転ループの連続ジャンプが、単発に終わるミスを犯した。
 その後に3回転ルッツ+3回転ループジャンプを跳び直して見事にカバーしたが、作品全体としての評価とすれば、このミスは、演技構成点にもっと影響を与えても良かったのではないか、という見方だ。しかも、この単発に終わった3回転ルッツにも、0.50のGOE(出来栄え点)加点がついていた。

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