高木奈那は世界一のカーブ滑走技術で新種目の初代金メダリストになった

 平昌五輪スピードスケートの新種目マススタートの1回戦、決勝が24日、当地で行われ高木菜那(25、日本電産サンキョー)が金メダルを獲得した。高木菜那はチームパシュートに続く2つ目の金メダル。日本の女子選手がひとつの大会で金メダルを2つ獲得するのは夏冬五輪を通じて初の快挙だ。同種目は16人で一周400メートルのトラックを16周する競技で4周ごとに上位3人にポイントが与えられ、ゴール時の順位に応じた得点の合計で争う。高木菜那の金メダル獲得の背景には、新競技に対する計算された戦略と世界一のカーブ滑走技術があった。

 高木菜那は我慢していた。

「オランダ勢が最後に2人で仕掛けてくると思っていたのでイレーネ(シャウテン)選手の後ろについて狙えるところで狙っていこうと考えていた」

 1周目は隊列を崩してはいけないルールだが、2周目に入ると、エストニアのアルサル・サキヤがポーンと飛び出した。半周近く先行されるが、高木菜那は集団の中で息を潜めた。12周目まで168センチの長身のイレーネ・シャウテン(オランダ)の後ろに155センチの小さな体を隠して風の抵抗を避け、体力を温存させた。

 13周目に入ってペースが上がっても下がらない。15周目に入るとシャウテンがスパート。高木菜那は2番手の位置をキープしながら、ついていく。韓国のキム・ボルムも食らいついてくるが、前には入れさせなかった。
「インサイドに切り込めるのは11くらい。前にいることが重要だと思った」

 冷静な戦略だった。
 最終コーナー。そのカーブの出口。
 シャウテンがわずかに外に膨らんだ。その空いたインを見逃さなかった。

「イレーネ選手が、コーナーでちょっと膨らんでいたので、これはインに切り込めるかなと切り込んでいった。もういくしかないと。足も残っていたので、ラストいける」

 一気にインを突く。 

 同時にキム・ボルムも前に出ようとするが、高木菜那の位置取りが効いた。温存していた足でスパート。前に出ると、そのまま懸命に腕を振った。

 歓喜のゴール。

 高木菜那は両手を突き上げた。

「この種目が始まって(2位、3位と)表彰台に上がったことはありましたが、金メダルという一番高いところには上がったことがなかった。最高の舞台で一番高いところに立てて本当に嬉しいです」

 女性らしく、乱れた髪型を直してからインタビューに答えた。

 「ワンツーフィニッシュを狙っていた」という佐藤綾乃(21、高崎健康福祉大)が準決勝2組で転倒。2人で戦略的にレースを進めることができなくなったという誤算はあった。