平昌五輪後の北朝鮮情勢について、共同通信の磐村和哉編集委員が27日、東京の外国特派員協会で記者会見した。平壌支局長などを歴任した磐村氏は、北朝鮮は核・ミサイル実験よりも南北首脳会談の実現を最優先課題にしているとし、いわゆる“微笑み外交”は続くとの見通しを語った。

【中継録画】平昌五輪後の北朝鮮テーマに共同通信・磐村編集委員が会見

五輪後も“微笑み外交”続く

[写真]平昌五輪の開会式で笑顔で拍手を送る金与正氏(左上)。翌日には文在寅大統領(左下)に訪朝を要請する金委員長の親書を手渡した(ロイター/アフロ)

 日本の過去最多メダル獲得に沸いた平昌冬季五輪では、一方で北朝鮮の“微笑み外交”が注目を集めた。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の実妹、金与正(キム・ヨジョン)氏が開会式に合わせて訪韓し、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に訪朝を要請する金委員長の親書を手渡すなど、南北融和ムードを演出した。

 磐村氏は、五輪後も北朝鮮はこうした微笑み路線を続けるだろうと語った。

 北朝鮮側が中止を求める米韓軍事演習は平昌五輪後に延期されているが、パラリンピック(3月9日~18日)後に米韓が軍事演習を行ったとしても、北朝鮮が核実験やミサイル発射などの「ハードな選択肢を取る可能性」は低いとみている。その理由は「北朝鮮が最優先としているのは『南北首脳会談』」だからだという。

 ミサイル発射などに踏み切った場合、文大統領は平壌を訪問することができなくなる。金委員長が与正氏を韓国に送り、首脳会談へのアプローチを始めたことは「おそらく南北対話を後戻りできない形で進めるという意思表示」であり、「核開発やミサイル開発よりも、いまは南北首脳会談に向けて走っていると言っていい」との見方を示した。

 ただこうした北朝鮮の方向性には流動的要素もある。米国のトランプ政権の出方がそれで、「我々は北朝鮮を予測不能というが、北朝鮮もトランプ政権を予測不能を受けとめ、苦労しているようだ」と述べた。

 一方で、今年9月9日に建国70周年を迎える北朝鮮が、建国記念日に向けて人工衛星の発射準備を進めるのではないかと懸念する。過去にも「軍事オプションではない」と主張して発射を続けたといい、「平和的な行為なので文大統領が平壌を訪問する障害にはならないと考えている」。北朝鮮が人工衛星に注力するのは、発展途上国の代わりに衛星を打ち上げるビジネスを念頭に置いているためだろうと推測した。

 北朝鮮が「責任ある核保有国」と宣言したことについては、インドやパキスタンのような立ち位置を念頭に置いているとした。「このまま米国とにらみ合いを続ければ、いずれ米国は核保有国と事実上認めて(北朝鮮に)アプローチしてくるということ」。ただそれは米国の核抑止力の著しい低下につながり、「日本にとっては危険な状況になる」と危機感を示した。

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