渡部豪太(撮影:志和浩司)

 大河ドラマ「西郷どん」に主人公・西郷吉之助の弟、吉二郎役で出演中の俳優・渡部豪太。兄の波乱の生涯の裏側で、兄の熱い思いを理解しながら、貧乏に追い込まれる一家を兄に代わり支える優しく実直な姿が印象的だ。

 そしてこの4月からはやはりNHK・Eテレで、以前放送され好評だった「ふるカフェ系 ハルさんの休日」が再びレギュラー放送される。渡部扮する主人公ハルが、全国の古民家を再生したカフェを訪ね歩くドラマ形式の紀行番組だ。今年の3月で32歳になる渡部だが、その落ち着いた存在感の源泉はどこにあるのだろうか。

11歳でCMデビュー 大きな転機は14歳の映画出演

 茨城で暮らした少年時代は、駄菓子屋へ行ったり近所を駆け回ったり、もちろんテレビゲームもするごく普通の少年だったという。テレビを観るのも好きだったが、まさか自分がやるものだとは思っていなかった。

 「ある朝、ランドセル背負って学校へ行こうとしたら、母が『今日は東京へ行くから』と言うんです。で、表参道のビルに連れていかれ、大人たちの前で自己紹介しました」

 芸能事務所のオーディションだった。11歳でCMの仕事から芸能界デビューしたが、大人からの指示通りにこなすだけの日々が続き、最初はあまり乗り気ではなかったという。大きな転機となったのが、14歳のとき役者の卵としてエキストラ的に出演した映画『独立少年合唱団』での体験だった。

 「セリフもない合唱団員役でしたが、みんながこのシーンでは自分たちは何をやろうと考えて能動的に芝居をつくっていたんです。そのとき、この仕事は自分で考えてつくることができる仕事なんだと知りまして、とたんに面白くなったんです。現場にずっといたいなって」

渡部豪太(撮影:志和浩司)

 高校卒業後、いったん芸能の仕事を休んで1年間カナダに留学したことも、現在の渡部を形成するのに大きな影響を与えたようだ。

 「バンクーバーで英語を勉強しながら、スケボーとかして遊んでました。楽しかったですよ、人もいいしごはんも美味しいし。何より自然が雄大でした。その中で育つと人はああも素敵になるのかと。若い人たちの地元に対する愛がすごいんです。あそこに見える山があるだろ、あの山では何月にはどんな花が咲いて、どんな生き物がいるんだよっていうのを教えてくれる。私はそのとき、富士山の標高も知らなかったのです」

 地元を愛するカナダの人たちとふれあうことで、日本に興味が涌いたという。

 「移民の国というのもあるのか異文化に寛容で、アートなどでも、いいものはいいというか。あと、家のドアを締めないんですよ。締めると、ルームメイトに怒られるんです。そのぐらいおおらかなんです」

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